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【つれづれ】先進医療について【よもやま話】

不妊治療には、いくつかの先進医療があります。

SEET法、タイムラプスインキュベーター、内膜スクラッチ、PICSI、ERAテスト、EMMA、ALICE、IMSI、二段階胚移植、子宮内フローラ、ER peak、ザイモートがそれに当たります。基本的には、体外受精・胚移植関連の技術です。

『先進』医療というと、なんか進んでそうで効果がありそうな感じがします
が、その実はどうなのでしょうか。

今回は、先進医療ってやった方がいいのか?ということをお話します。


やった方が良いということはない

特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療や手術などがある程度実績を積んで確立されると、厚生労働省に先進医療として認められ、医療技術ごとに実施者、治療対象、治療法とその実績、医療安全など、厚労省の基準を満たし、実施承認を受けた医療機関でのみ行われるようになります。つまり、先進医療とは『最先端の治療』です。

ここでは、先進医療は方法や安全性の確率した最先端の治療であるということだけが言及されており、一番効果があるとか、十分な効果が実証されているということには言及されていません。

日本は国民皆保険という医療制度を敷いています。国民皆保険では、保険診療と自費診療を並行して行う混合診療は、原則として禁止されています。これだと、技術として確立しているけれどまだ効果があるか評価が定まっていないため保険診療になっていない治療法は、すべて自費診療で行うことになります。それだけ高額な治療を受けられる方は多くはないため、このままでは効果があるかの評価がいつまでもできず、治療の選択肢が広がりません。このため、一部の治療法を先進医療として保険診療との併用を可能としました。

先進医療は、将来的に保険診療の対象にすべきかどうか評価を受けている段階であり、現時点で必ず効果があるという評価ではありません。つまり、やった方が良いというものではないということです(やってみる価値がないという意味ではありません)。

実際これまで、十分な評価を受けて公的医療保険の対象となったものもありますし、逆に十分な評価を受けられずに対象から外れたりしたものもあります。

良く考えて実施していただくのは問題ありませんが、危険性も小さいし取り合えず最先端なものは良さそうだからやってみるというのはオススメしません。実際、私はタイムラプス以外の先進医療をほとんど実施していませんが、安定して60%近くの移植あたり妊娠率をマークできています。保険診療の基本をしっかり押さえた上で、さらなるadd-onとしての先進医療だと思います。

ただ、皆さま各々状況が異なりますので、先進医療を検討されている場合はご相談ください。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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