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【やさしい】子宮卵管造影検査について①【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

今回は子宮卵管造影検査(HSG;Hysterosalpingography)についてお話します。Hysteroが子宮、salpingoが卵管、graphyが造影検査を表します。

子宮卵管造影検査を行う際にはいくつかのポイントがあります。


子宮卵管造影でわかること

HSGは、卵管の通過性や腹腔内の癒着の有無などがわかる検査です。細いカテーテル(中空のチューブ)を子宮内に留置し、そこからヨード(ヨウ素)造影剤を流します。カテーテルにはバルーン(風船)がついており、子宮の入り口に蓋をしてしまえるので、造影剤は子宮の入り口から漏れることなく卵管の方へ流れていきます。

造影剤はレントゲンで白く映る性質を持っており、画像コントラストを付けることができます。これによって卵管を造影剤が通過するところや、腹腔内(おなかの中)を広がっていくところが確認できます。

腹腔内へ造影剤が漏出すれば卵管が開通していることがわかりますし、腹腔内で造影剤が1か所に貯まらなければ腹腔内の癒着はないことがわかります。

腹腔内へ造影剤が漏出するところが確認できなければ、卵管閉塞(卵管が開通していない)と診断します。腹腔内で造影剤が広がらずに1か所へ貯まるなら、腹腔内癒着のせいでくっついている部分があると診断します。


検査の合併症

ほとんどの検査には大なり小なりの合併症があります。HSGも例外ではありません。HSGの合併症は主に以下の3つです。

1.臓器損傷
2.検査後感染
3.アレルギー

臓器損傷は主にカテーテル挿入時に起こります(滅多に起こりませんが)。カテーテルにはスタイレットという形状を保持するためのワイヤーが入っています。壁に当たったときにそこで曲がってしまってそれ以上入らなくなることがあるのでこういったものがついていますが、逆に抵抗がある場合に無理矢理押し込むとそのまま突き破ることがあります(穿孔と言います)。子宮の入り口である頸管を突き破ることもありますし、子宮の底を突き破ることもあります。いずれにせよそのまま造影検査をするとちゃんと子宮内腔が造影されないのですぐわかります。僕は経験ありませんが。

正直スタイレットなくても入れられるので(ワザと先に抜いてしまうこともあります)、スタイレットなしを作ってほしいです。

造影検査の際には卵管を通って造影剤が腹腔内へ流れていきます。この時に多少の菌などの病原体が流れていきます。膣内は消毒しても無菌状態にすることはできませんので、病原体が入ることは100%予防はできません。ただし、よほどのことが無ければ感染まですることはありませんし、造影検査のせいで妊娠率が下がるということはありません(むしろ少し上がる)。先にクラミジア感染がないことは確認しておきますし、基本的には感染が問題になることはありませんが、リスクの高い方は一部いらっしゃいます。卵管水腫がある方はそれに該当しますが、検査をして初めてわかることが多いので、あらかじめリスク把握をすることは困難です。実際には卵管水腫があっても感染を必ず起こすわけではありません。

造影検査後にはアレルギーを起こすことがあります。造影剤に含まれるヨード(ヨウ素)のせいですので、過去にヨード造影剤でアレルギーを起こしたことがある方やイソジンアレルギーの方は検査を受けることはできません。そうでない方でもアレルギーを起こすことはありますし、過去の造影で問題なくても起こることがあります。ほとんどの場合は検査から1時間以内に起こりますので、かゆみやノドの違和感といった症状が出現した場合は注意しましょう。

その他、造影剤が血管内に流入してしまうこともあります。この場合はすぐに検査を終了します。

また直接の合併症ではありませんが、比較的最近に喘息発作がある方や、重篤な甲状腺疾患のある方、妊娠の可能性のある方は検査を受けられない場合があります。



思いのほか長くなってしまったので、今回はこのくらいにしてパート2へ続きます。次は、

・子宮卵管造影検査でわからないこと
・検査の後に決めなければいけないこと

についてお話します。



妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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