【バリ島#3】飛べ!神鳥の如く…?前編
ガルーダが神の鳥と分かって、俄然「ガルーダインドネシア航空」で行くバリ島への旅が楽しみになった。おかしなもので、そう思うとガルーダが描かれた機体がとてもカッコいいものに見えたりする。それまでは「ちゃんと飛ぶのかな」などと不安ばかりを口にしていたのに。
しかし、そのワクワク感や期待感は出発当日、成田空港に着いたときにパツンとはじけてしまった。当時、バリ島は今のように誰もが行ける人気の観光地ではなく、サーファーやダイバーにとって人気の地だった。そのためか、飛行機の時間もいわゆる「日中発着」ではなく、夜出発着の便しかなかったように記憶している。
時期もずらしていたため、夜の成田空港は人が少なくガラ~ンとしていた。それまで海外旅行は1回だけ経験していたけれど、香港だったし3泊4日のツアーだった。今回は飛行時間もえらく長いし、ツアーではない。
何だか急に心細くなった。案内板の「パタパタ」という音(これがまたイイんだけど)と、空港ならではの「あの」チャイムが妙に大きく感じられ、「あぁ空港に来てしまったんだ」と思ってしまった。友人も同じ気持ちだったのだろう。二人して黙ったまま、次々に閉店準備をしていくショップの前に座り、時間が来るのを待っていた。
後ろ髪を引かれる思いで出国し、Gateに向かっていく。気がつくと、どこからともなく三々五々集まってきた外国人に囲まれているではないか!日本人が見当たらない!今だったら「そりゃそうだよ、現地の人にとっては帰国便だもの」と分かるけれど、当時はそんなこと知る由もない。
「なんで外国人ばかりなの?」と不安は募るばかり。しかも英語じゃない!何を言っているのかサッパリ分からない。こっちを見て笑っている? 何かおかしい? 違う意味でドキドキする。
さらには、飛行機に乗るためにバスに乗るという。え?そんなこと聞いてないよ? ガルーダ航空だよね? 神の鳥だよね? 軽いパニック状態になりつつも流されるままバスに乗り降ろされる。そして、シンボライズされた尾翼のガルーダを横目に、ついに客室へと飲み込まれた。
狭い機内はモアッとして薄暗かった。そして色んな匂いがした。相変わらず分からない言葉が飛び交い、大きな笑い声や赤ちゃんの泣く声、オジサンたちのケタタマシイ会話が響いて、まるで宴会場のようだった。そんな中に、若い日本人の女の子(当時はね)2人がちょこんと座る。もちろん、周りに日本人は見えない。
あーん、もう泣きたい気持ちだよ~。
そんな気持ちに追い打ちをかけるように、機体はエンジンの音とともに動き出した。加速度を増すにつれ、揺れに揺れて音もスゴイ。路面電車の方がまだマシ。さらに天井や窓がギシギシ言っている。…もう声も出ず、握り拳にぎゅっと力を入れ、頭をヘッドレストに押し当てる。
もう、なるようになれ…。
今回もお読みいただきありがとうございました。綴り始めたら、思いのほか長くなってしまい2つに分けることにしました。まだ着かないバリ島。もう少し空の旅にお付き合いください。
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