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手の震え | バセドウ病体験談#5
今回のテーマは「手の震え」です。
手の震えは些細な症状なので「気のせいかな」とスルーしやすく、自分も周囲も気が付きにくい症状だと思っています。バセドウ病はいろいろな症状が少しずつ出てくるので、後になって考えてみたらおかしいけれど当時は気が付かなかったということがたくさんありました。
バセドウ病の手の震えは実際にどんなものなのか、私の体験をお伝えしたいと思います。
震えているのが見てわかる
実際に震えているのが分かります。両手の指を広げてじっと見つめていると、震えているのが分かりやすかったです。
自分の意志とは無関係なので、止めようと思っても止められません。
タイプミスが増える
私の場合、一番違和感を感じたのはこれ。パソコンを使う仕事だったので「いつもと違う」というのを感じやすかったです。
打ちたい文字と実際に打っている文字が全然違って、頻繁にbackspaceキーを押していました。
明らかにタイプミスが増えるので、デスクワークでパソコンを日常的に使っている場合は「おかしいな」という違和感に気がつくことができるポイントだと思います。
文字が書きにくい
いつもより書きにくい、いつもより字が汚い、と感じることが多くなりました。
当時を振り返ると、どうしてこんなに文字が書きにくいんだろう、おかしいな…と思っていました。思うように字が書けないのは、小さなフラストレーションでもありました。
手の震えが強くなってくるとかなりの違和感が出てくると思います。
よくものを落とす
これはバセドウ病で痩せてしまって体力が落ちたり、筋力が低下することも起因していると思います。とにかくよくものを落としました。
食器を落として割ってしまったり、包丁を足の近くに落とすなんてことも。足の上に落ちていたら確実に病院だったので、今思い返すとゾッとします。
二次被害に繋がりやすいので、普段キッチンに立つ機会の多い方はもちろん、仕事で繊細な指の動きを必要とする方は気をつけてくださいね。
私はお気に入りの食器も割ってしまい、とても落ち込みました。
ポイントメイクができない
アイラインが上手く引けなくなりました。目に入ってしまうと危ないので、手の震えを感じている時は控えた方が良いかもしれません。
手の震えで眉剃りがコントロールできず、勢い余って眉をそり落としたことも。あの時の小さな絶望は今でも忘れられません…。
弓が引けなくなった
私は大学4年の発症当時に弓道部に所属していたのですが、弓が引けなくなりました。当時は理由もわからず暴発を繰り返し、卒業間近だったので結局そのまま引退になってしまいました。
恐らく手の震えに加え、筋力の低下で体のコントロールができなくなっていたのだと思います。
4年間誰にも負けないくらい練習に参加して、副部長まで務めて、それくらい大好きな弓の世界でした。好きなものをあきらめなければいけないこと、それも病気の辛さです。
お金も、時間も、自由も、好きなことも、離れて行ってしまう。バセドウ病に限らず、病気にはそういう悲しみがあります。健康な人に嫉妬したり、そんな自分に失望することもあるでしょう。それは経験しなければわからない辛さです。
私はバセドウ病になってから、悔しくて悲しくてみじめで情けなくて、コントロールできない自分の心と体に苛立って、仕方がありませんでした。
でも、バセドウ病は適切な治療を根気よく続ければ、上手く付き合っていくことができる病気です。
病気で離れていくものはたくさんありますが、戻ってくるものもあれば、感謝や強さや新しい出会いなど、病気を通して今までに無かったものを手に入れることもあります。
そして悲しい時は無理に前なんて向かないで、我慢せずにたくさん泣いてください。
「悲しい時は悲しい弓を、嬉しい時は嬉しい弓を引く」
これは恩師の言葉であり、今でも大切にしている言葉です。自分が思い描いていた形とは違うかもしれないけれど、嬉しい弓を引ける日は、諦めない限り必ずやって来ます。
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