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コロナ後遺症初期、なにもわからない不安のなかで | コロナ後遺症体験談#3

症状が多すぎて、自分でも何が起きているか把握できなかったコロナ後遺症初期。

コロナ後遺症の症状はモグラ叩きに似ているとも言われますが、まさにそのような状態でした。

あっちを叩けばこっちが出てくる。

むしろ、叩かなくてもわんさか出てくる。

そんな当時の状況を振り返ります。

臭いの無い世界

コロナ後遺症の症状としてまず初めに出てきたのが嗅覚障害。まだ発熱が続いていたコロナ発症初期の頃、焦げくさいような臭いが続いていました。鼻づまりで臭いがおかしくなっていると思っていたのですが、発熱が落ち着いて少し経ってから、全く臭いを感じなくなっていることに気が付きました。

口に入れるもの、自分の体、街中、部屋の中…。今まで意識していなかっただけで、嗅覚を通して得ていた情報量の多さにはじめて気が付きました。

危機察知能力のひとつが機能しなくなってしまったこと。これは想像していたよりもずっと恐ろしいことで、常に不安感に付きまとわれる生活に一変しました。

アロマオイルでトレーニング

当時、耳鼻科の先生も推奨している方法で、アロマオイルを使った嗅覚トレーニングがありました。

やり方は簡単で、香りの異なるアロマオイルを朝晩2回嗅ぐというもの。

私は「ピンクグレープフルーツ」「ラベンダー」「ゼラニウム」を毎日嗅ぎ続けました。

基本的には嗅覚がゼロなので、無臭の小瓶を嗅ぎ続ける作業でした。たまにほんの少しだけ臭いがわかる時もありましたが、翌日はまた無臭になっているなど、波がありました。

唯一、たまに臭いがわかるのは「ピンクグレープフルーツ」だけ。料理をしている時、お酢の臭いが少しだけわかることもあったので、柑橘系のような酸っぱい臭いが一番分かりやすかったのかもしれません。

ラベンダーとゼラニウムは、1か月目の時点では全く分からず。

たまに焦げ臭いような、シンナーのような臭いを感じることも。

一喜一憂しながら、毎日よくわからない香りを嗅ぎ続けました。

コロナ後遺症について今よりずっと何も分かっていなかった当時。祈るような気持ちで、虚しさと隣り合わせのトレーニングを続けるほかありませんでした。

短期間あらわれた味覚障害

味覚障害は、嗅覚障害よりも遅れてやってきました。もしかしたらはじめから味覚障害になっていたのかもしれませんが、風邪の時はいつも味がおかしくなるのであまり気にしていませんでした。

明らかに違和感を感じたのは感染から約1か月後。

何を食べても苦かったり、味がしなかったり、ということがありました。

嗅覚よりも症状に波があり、日によって味の感じ方が違いました。そのかわり、数週間程度で味覚障害はよくなりました。

つらい胃の不調

2年前から原因不明の吐き気で食事がとれない状態が続いていましたが、コロナ後遺症になってからしばらくは胃の調子が悪化しました。

もともと食事がとれないのに、さらに食事がとれなくなりました。

私は嘔吐恐怖症で、ちょっとの吐き気も怖くてパニック発作を起こしてしまうことがあります。

そのため身長160cmですが、一番ひどい時は40kgを切りました。

口の中の異変

コロナ以前からこの症状を感じていたのですが、明らかに悪化しました。

就寝時に口テープを貼って鼻呼吸で寝ていたのですが、朝起きると口の中がパサパサで、舌が真っ白に。

私は舌が白くなりやすいのですが、以前とは比べ物にならないくらいの尋常ではない白さでした。こんな真っ白な舌は見たことがありませんでした。

舌が気持ち悪いからと数日おきに舌クリーナーで掃除するものの、舌掃除をした翌日には真っ白に戻ってしまうような状態でした。

コロナ後遺症初期を振り返って

当時はとにかく「何が起きているかよく分からない」の一言に尽きます。

前述した通りまだコロナ後遺症の知識が乏しく、コロナ後遺症についてメディアも焦点を当てていない状態でしたので、自分の体で何が起きているのか、何をするとどうなるのか、全然わかりませんでした。

嗅覚障害や味覚障害に関しては、数年前に体験したことがあったので、辛いけれど慣れがありました。

亜鉛欠乏症なのか、化学物質過敏症なのか、勤めていた頃に同じような経験がありました。その時は何を嗅いでもシンナーのような臭いがして、口の中が常に酸っぱいような、じんじんする感じがありました。

マスクをすると、マスクの臭いで気持ち悪くなりました。

当時はそういう状況でフルタイムで働いていたので、それに比べると自宅で療養に専念できる状況はとてもありがたく感じました。

ですが、臭いが無くなるということに関しては初めての体験だったので、かなり辛かったです。

香りの無い食事がこんなにも辛く、臭いによって周囲の状況を把握できないということがこんなにも恐ろしいなんて。

ずいぶん経って嗅覚が復活してきたころ。食事を温め終えて電子レンジを開けたときにふわっとおいしそうな香りがして、心の底から感動したのを今でも覚えています。

当たり前のように受け取っている恩恵。

なくしてみないと実感できない、ありがたみ。

日々の生活の中で、きっと嗅覚以外にもそういうものがたくさんあるのだと思いました。


ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

私の体験談が少しでも参考になれば幸いです。

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