ヒロアカってあるじゃん(1)
あれの主人公ね、あんまり好きじゃないの。
理由は最初からわかってて、
「何の資格も才能もないのに、ヒーローの力を棚ぼた」だから。
それまで、無駄であっても努力していた、とかさ。
無能力でなければ受け継がれない事情があある、とかさ。
何かしら読者が「この子が選ばれたことに納得できる」要素があればいいわけよ。
でも、ないんだよなあ。
できない子ができる子になっていく。弱者が強者を追い抜いていく。
そういうストーリーは面白いけど、あの世界は能力のポテンシャルで10割ヒエラルキーが決まる世界だから、逆転はない。そういう設定。
その辺は持たざる眼鏡こと、「ワールドトリガー」の修とは違うよね。
アニメも好きでずっと見てるんだけど、そこだけは釈然としないままだったの。
それでも、その辺が解消される展開になるんじゃないかなって期待もしつつ。
主人公は滅私奉公するけど、それはヒーロー願望のある人なら珍しくない傾向で、
そもそも、ヒーロー側はそういう人ばっかなんだからね。
なんだけど、最近、ちょっと胸が痛くなってきて。
主人公はさ、ヒーローに憧れる普通の優しい子なんだよ。
困った人がいたら助けたいなっていう。
この辺はワートリの眼鏡とだいたい一緒。
けど、ワートリの眼鏡は同時にそれがエゴでもあることもちゃんと描かれてて、
彼の行動がときに他人を軽視してることも併記されてるんだよね。
ヒロアカの方はそういうのはなくて、本当にただのいい子なんだよ。
そういう子が後付けで、個人には余る強大な力と使命を受け取ってしまったらどうなるかってと、
自分の身も命もすべて削る
しかないんよ。もう。
だって、捧げられるものが自分自身しかないんだもん。
だから、ぼろぼろになっていくんだけどさ。
この子にはそれをしなきゃならない理由ないの。
親も健在だし、友達を呪霊にされたわけでもないし、彼自身がどこか歪んでるわけでもない。
ただ、憧れの人に、大きな力と使命を渡されただけ。
しかも、渡されてからそのことを知ったの。
これじゃ虐待やん。
無邪気な少年を利用しとるだけやん。
ワン・フォー・オールのなかのヒーローたちはさ、なんでそんなことができるの?
彼がその因縁に連なることを納得して受け取っては、いないじゃん。
こんなやり方で敵を倒すのって、特攻隊の理屈と同じじゃない?
って気持ちになってきてしまって。
最初から最後の構想まで考えてなかっただろうから、そうなってしまったのは意図したことではないとは思うんだけどもさ。
なんだか、善人の未成年に全部背負わせて身を削らせてるの
そんな社会や大人いやだなあ……
って感じるのです。
そこの部分は子どもたちには受け取ってほしくないとこだなってさ。
どう決着させるんよ、と思いつつ最終回になった。
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