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第1話 "ネルコは既に育った"
それまでの1年半は何だったのだろう? そう思えるほどに方針が、私が仕事に対して希望する多くのことを妥協すると決まってからは、物事が早く決まっていった。不満ではなく、どう受け入れるべきかを考えなくてはいけない。もう再来週からの私は、私の不満を仕事として受け入れてくれる相手はいないのだから。
私の本名はここに記さないことにする。理由はいくつかあるけれど、一番の理由は私が健常ではないからだ。五体は満足であり、何かの疾病で苦しんでいるのでもない。平たく言えば、私は頭がおかしいのだ。どのようにおかしいのかはおいおい書いていこうと思う。
ここではネルコと名乗りたい。大した意味はないけれど、他界した父が私について「よく寝る子だ」と評価していたのを思い出しただけ。それだけだ。私にとっては夢の中のほうが生きやすいと感じることは少なくない。現実のほうが悪い夢の中のようですらある。きっと今も、明日もやってくる辛い日常も夢なのだ。私はずっと眠っているに違いない。
私はネルコだよ。
他人に振り回され、たくさんの被害を受けてきた私は、多くを我慢させられてきた。名前も、気づいた時には確定して数年が経過していたんだよ。ここに書くときくらいは自由を得てもいいじゃないか。
私はネルコになった。私がネルコだと決めたからだ。