吾妻連峰縦走:プロローグ
海外に住んだことがある人は
日本が窮屈な社会だという。
息苦しい社会だという。
生きづらい社会だという。
そうなのかもしれない。
そうでないかもしれない。
が少なくとも物理的には
日本が大変窮屈な国であることは
間違いない。
ちょうど一年ほど前、
山林を買おうか迷っていた時期があった。
数百万から数千万の相場だが、
中には無料に近い破格の価格で売りに出ている。
見てみると立地も北海道の山奥とかではなく、関東近郊だったりする。
しかし、よくその物件を調べてみると
小屋も立てられないような山の急斜面だったり。
むむ。これは無料でも手が出せない。
国土地理院によると、
日本の居住可能面積は27.3%で
国土のおおよそ3/4は山か森か湿地。
他の国の居住可能面積の割合、
イギリス:84.6%、フランス:72.5%、ドイツ:66.7%と
比べると極端に少ない。
https://www.mlit.go.jp/common/000997376.pdf
この国の中心は山である。
だから山の「所属」や「帰属」をめぐって
争いが起きるのは滑稽にも見える。
富士山は山梨県のものなのか、
それとも静岡県のものなのか。
鳥海山は秋田県のものなのか、
それとも山形県のものなのか。
この類の話は多い。
その背景には、
山の稜線が県境になることが多い、という事実がある。
古来からの信仰のうえに
地元の住民の住民のプライドが重なり、
さらに観光戦略の一環で山のブランド力を借りたくなる。
世界遺産ともなれば
なおさらのこと。
山の視点から見たらどうなのか。
「麓で人が騒いでるなー」
( ´○`)
私たちにも
それくらいの心の余裕がほしい。
<続く>