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イベントを主催してつながる、飲み会以上ビジネス未満の関係。dotFesを開催することについて。

会社でdotFesをいうイベントを2008年からほぼ毎年開催しているのですが、毎年開催するたびに「このイベントは毎年続けて行くべきだ」という気持ちが強くなってきます。もちろん登壇される方々や参加者のみなさんがあってこそのイベントなので、続ける意志は僕ひとりのものではないのですが、イベントを通じてできあが関係というかイベントの空気がとても貴重なものだなと時間するようになってきたからです。

ということで自前でイベントを開催するメリットみたいなものを書いてみたいと思います。

dotFes(ドットフェス)とは?


Webクリエイターのための学園祭
もともとはWeb Designingという雑誌の元編集長である馬場さんと一緒に始めたイベントです。
その頃はFlash全盛期で、うちの会社でFlashの連載を持っていたのですが、紙面上だけでなくリアルな場所でもFlashの作り手の話を聞いたりする場所があるのも面白いのでは?ということから始まりました。

なので、最初はFlashの作り手の人達を中心に、面白い表現をしている人たちを呼び集めています。
現在はもっといろんな方面から、基本は何かを作る人をメインに登壇してもらっています。

今年の大阪では海外の人を含め総勢21名に登壇してもらいました。

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トークだけでなくデジタルインスタレーションの展示もあります
もうひとつの特徴としてデジタルを主戦場とした制作会社さんがデジタルインスタレーションを展示するスペースを設けています。ゲームセンターやUSJのコンテンツ制作に関わっているような会社さんが、このイベントのために新しい作品を作って来てくれたりしていて、とても嬉しいです。

各社ここでプロトタイプを作って、実際の仕事に活かしたり、若手に任せて作品を作ったり、学生の発表の場になったりといろいろと活用してくれています。
ただ、膨大な時間をかけてこのイベントに向けて作っているので、その時間を考えると誠に恐縮です。

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ちなみにうちの会社も制作会社の端くれなので、毎年新作を作って出展しています。たき工房さんという会社と共同で出展するのが恒例になっています。

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クリエイティブ大喜利という非公開の大喜利大会で締めます
これもdotFesの特徴となっている大きな要素なのですが、第一線で活躍しているウェブのプランナーやエンジニアさんを招いて大喜利をしてもらいます。
大喜利といってもみなさん事前に用意してもらっているのですが、アプリのプロトタイプを作ってお披露目してくれたり、そのまま仕事として売り込んでもいいのではないかという企画書をまとめて来てくれたりします。

さらにこのクリエイティブ大喜利は完全非公開で、イベントでしかみれないというところがまた臨場感があってかなり盛り上がります。

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これまでの出演者

一番有名と思われるところでは家入一真さん、その他デジタルの制作会社では有名なチームラボさん、ライゾマさん、partyさんなどクリエイターであればみんなが憧れる会社さん多くに出演してもらっています。

家入さんはトークではなく、クリエイティブ大喜利の出演者としてFlashの作品を作ってもらいました。
家入さんがFlashの作品をdotFesのために作ってくれたのは僕の自慢のひとつです。

ちなみに過去の主な出演者はここから見れます

BAUS Magazine


イベント開催のメリットとは


1. 飲み会以上ビジネス未満の関係ができる
すでにタイトルに書いていますがイベントをやるメリットとして、この「飲み会以上ビジネス未満」の微妙な、いい関係性が作れるというのが一番です。

もちろん僕の会社は営利団体なので、ビジネスとしてお金が儲かることが大事なのですが、ビジネスというのはそれなりに上下関係もあります。クライアントありきだとそのクライアントの意向がかなり強くなってしまいますし、大きなお金が動くとなったらそれなりにピリピリしたものがあります。
(といいつつもスポンサーさまからお金はいただいていますが)

また、もっとカジュアルな飲み会やビジネス交流会だと「なんかやりましょう!」みたいなところから関係性が進むことはほとんどなく、それ以降連絡をとらないことが多いです。

これらの間をいく関係性がイベントなのかなと思っています。
スピーカーもインスタ出展者も交流会や飲み会よりはかなりコミットしないといけませんが、クライアントワークというほど硬いプロジェクトでもないです。
また一緒にイベントに出て何かを表現したということが、とてもみんなとの距離が近まる感覚があります。仕事でもない、飲み会でもないその間のつながりが生まれることがこのイベント開催の一番の収穫だと思っています。

2. 海外や地方進出のきっかけになる
これは完全僕たちのメリットなのですが、イベントをしたいと持ちかけると、基本的にみなさん歓迎してくれます。大学などの会場は、そこの学生たちにも実際にバリバリ制作している人たちと触れ合ういい機会ですしですし、講堂や教室などもともとあるものを使わせてもらうわけなので、そんなに相手側にも負担になりません。

開催するにはそこの会場の人たちと何回か打ち合わせする必要がありまして、それを重ねるたびに会場の人たちとも仲がよくなります。また出演者も基本はその地方の制作会社さんに登壇してもらうようにしていますので、現地の人とも仲良くなります。

こうしてイベントをきっかけにその地方(もしくは海外の都市)の人たちとのつながりができ、仕事をする上でもそのベースができあがります。

2018年にベトナムのダナンで行ったときはダナンを拠点とするIFVさんという日系会社さんにとても親切にしてもらい、ダナン工科大学とのつながりもでき、その大学の出身者がうちの社員にもなり、ベトナムとの距離がこの年で一気に近くなりました。

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イベント開催を10年に渡り継続させる方法

出演者、出展者が数十名いて、500人〜800人ほど参加者が来るイベントの運営って大変じゃないかと思っている人は多いと思います。
特に何年も続けていくのは運営費用にも増して、毎年続けていくというモチベーションを保つことが重要です。

実際は本当に大変で、いつもイベントが失敗するんじゃないか、やっている意味があるのかなど考えてしまうのですが、以下のことに気をつけながらコンパクトかつ継続的なイベントを心がけています。

1. 自分たちの人件費は経費に入れない
これをしたらイベントはボランティアでやってるのか?ということになってしまうのですが、イベント運営に関してはもう会社の人件費を計上しないと割り切っています。その代わりうちは案件や講座など別のところで売上をあげる必要はありますが。

ただ、どこまでもリソースをつぎ込むという訳ではなく、最小限で動ける範囲でやります。
dotFesに関していうと、開催の1ヶ月くらい前までは2人か多くても3人で準備をしています。

2. できるだけ自前でする
上記のこととも関連しているのですが、自分たちでイベントをやるにはまず外部に出てしまう経費をできるだけ下げます。うちが持っていない機材以外はレンタルするしかないですが、それ以外の作業はすべて内部でします。具体的にはこんなものを自分たちで全部しています。

外部制作物作成(一部外注に出してます)
- ウェブサイト
- ポスター
- フライヤー
- 当日パンフレット
- 構内案内板

内部制作物作成
- 前日、当日スケジュール
- ゲスト関係者案内資料
- 当日進行シナリオ
- インスタレーション配置図
- 打ち上げ案内ちらし
- スタッフ一覧表
- 入場者一覧表

当日のスタッフ役割
- ディレクター
- PA
- タイムキーパー
- ゲストスタッフ呼び出し
- インスタレーション設置調整
- 受付

3. 多くの人に手伝ってもらう
ほかのイベントも同じかもしれませんが、基本は多くのボランティアの人に手伝ってもらいます。
今年は少なくて10人くらいでしたが、多いときは30人くらいのボランティアの人にきてもらいます。
ボランティアの人にはセッションの半分は見れたり、昼ごはん、晩ごはんを無料にしたりと参加者とスタッフの間のような役割でやってもらいます。

4. クライアントワークにしない
これが一番重要だと思っています。例えばスポンサー費用があれば開催はできるが、ない場合は開催をあきらめるということはよくある状況だと思います。
クライアントワークとして考えれば当然のことなのですが、そういう考えを敢えてなくしています。
上記の会社の人件費のこともそうなのですが、「費用があろうがなかろうが、これは自分たちのプロジェクトなので必ずやる」という気持ちを忘れないようにしています。


という感じで、自前でやる、かついろんな人を巻き込むことで小さい人数でも比較的大きなイベントが開催できます。
この少人数でやる、かつ仕事として考えないということが、イベントを継続させる秘訣です。
スタッフの人数やお金の規模に頼ってしまうと、それがなくなったときにイベントが開催できないという状況になるからです。比較的大きなイベントでも3年くらいで終わってしまうのはこのあたりの気軽さがなくなってしまっているからじゃないかなと想像しています。

10年以上続けてみて、何を得たかというのははっきり言えないですが、確実に何か大きなものがイベントによって生まれているなと感じます。
なによりイベント開催は本当に楽しいので、自分が主体となって開催するのはオススメです!

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