ベトナムでもクリエイティブが重要視される日は近いかも
ベトナムというと技能実習生やオフショア会社など安いかつ大量の労働力というイメージを思いうかべがちですが、そういう状況も少し変わってきているんじゃないかという話です。
海外から続々とベトナム人が本土に戻ってきている
今回紹介したい会社はこの前のdotFes2019大阪でも登壇してもらったベトナムの会社です。
この会社はThe LABという名前でホーチミンにあるプロダクションです。
The LAB Saigon
https://thelabsaigon.com/
まず彼らの紹介ビデオをみてもらうとわかるのですが、ポスター、プロダクトのパッケージデザイン以外にミュージックビデオ、カフェの内装など、デザインがかかわるものすべてを手掛けています。
ここの社長はTuan Leさん幼少期をアメリカで育ち、日本のICUにも一時留学していたことがあります。英語はもちろんネイティブレベルで、ベトナム語、そして少し日本語も理解します。
そんな彼が作った会社は普通の会社と少し違いします。
オフィスは古い建物をリノベーションしたものです。
社員はベトナム人が中心ですが、みんな帰国子女や英語が堪能な人ばかり。社内の雰囲気も少し日本のプロダクションと似ています。
僕がベトナムに行っていろんな人と会っていると、このようにベトナムの現在の発展を機に、国へ戻ってきている人が多くいます。
もちろんこれには日本で経験を積んできたベトナム人も含まれます。
今技能実習生などで日本語を学んだベトナム人も帰国して、日系企業に就職するのではなく、自分たちで会社を起こして、日本と取引をしようとしている人たちをよくみかけます。
かつて上海でもみたような光景がいままさにベトナムで起こっているといえるでしょう。
ビジネスを担う中心人物が外資系の企業ではく、現地の人たちに移行している段階になっていると思います。
デザインで社会的問題を解決するという流れはベトナムも同じ
このThe LABの作品をみてみると、社会的なメッセージをきちんと作品に落とし込んでいるものが多く見られます。ベトナムが発展してきているとはいえ、まだいろんなところで問題はあります。それをきちんとデザインの力で表現しているところはきちんと育っている感じがします。
From Fairwear To Love Affair from The Lab
https://thelabsaigon.com/fromfairweartoloveaffair/
この作品はベトナムにあるドイツ資本の縫製工場の紹介です。
ベトナム人従業員が楽しく快適に働いているかをデザインの力で可視化し、従業員の声をきちんと会社が受け止めようというキャンペーンです。
HIV | A Love Story
https://thelabsaigon.com/hiv-a-love-story/
こちらはエイズ撲滅のキャンペーン動画とグラフィック。
また、僕が度々訪問しているホーチミンにあるRMIT大学では、デザインの授業はかならず社会問題を解決することをテーマとしてとりあげるという学科もありました。
現在発展していっている段階のベトナムでは、デザインはまだ賑やかしのためだけに使われているのではと思われがちですが、すでにある場所に置いては日本と同じかもしくはそれよりも進んだデザインの考え方が取り入れられています。
日本、ベトナム間の共同クリエイティブチームは作れるか?
こういったことを踏まえて、すぐに日本とベトナムの混合デザインチームができるかというとまだ僕も正直分かっていない状況です。
まだやはりベトナムに仕事を発注するのはプログラミングの技術的な部分や単純作業などが多くを占めます。また、ベトナム人のデザイナーを雇って日本のデザイン案件を任せるということもまだ少し先なのかなと考えています。
ただ、今の発展の状況を考えると今のうちからデザイナーとつながり、発注するだけの関係ではない共同のプロジェクトをすることは今後のベトナム、その後に広がる東南アジアとのつながりにはとても重要だと思われます。
もちろんコスト面でもベトナムは魅力的でもあります
ここまでデザイン、クリエイティブなどのことを書いていましたが、もちろんベトナムはまだコスト面でも魅力的な価値があります。
Tha LABのTuanさんもdotFesでも「日本でコスト面で躊躇するような案件も一度ベトナムにおねがいお願いしてみてはどうか?」と言っていました。
エンジニアリングだけでなく、The LABのようなクリエイティブ案件でも日越の共同チームを作れるといいなと僕も考えています。