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漫画サークル時代に書いた後輩へのアドバイス文書晒して客観視してみる話


前回記事「好きで描いていた「作品」たちが、認識の変化により「無価値なモノ」に変貌した話。」で以下のように触れていた、ギャグマンガに固執していた時の文書(「漫画の描き方講座」)が見つかったので、晒してみることにした。
「昔の私の漫画にもギャグ以外の漫画が残っていた。だけど、大学生時代からなぜかギャグマンガしか書かなくなり、以来今までずっとギャグマンガに固執している自分を発見した。」
なぜ晒すのかというと、ある時点では信じて疑わなかった現実が、後から見返すと誤解や妄想にとらわれていたのではないかと客観視して、今自分がそうなっていないか確認したいからだ。

■漫画の描き方講座(大学卒業して半年ほどたったことに書いたもの)
※書いた経緯は、大学時代所属していた漫画サークルの後輩から何か漫画の講義をしてほしいと依頼(?)を受けたため。
※文中の固有名詞や地名、参考文献は今回の主旨とは外れるため伏せている。

漫画の描き方講座・・・ストーリーその他編							
	目的 今回コノ講座を開く目的としては3点あります。						
	1	 新入生用の漫画冊子を描いたけどいまひとつ。今後はあんま描く気がしないなんて人に
     ちょっと描いてもいいかなって気分にさせる。					
	2	 すでに創作意欲?なにそれおいしいのと思ってしまう、なんとも漫画描きの私としては
     もったいない人をちょっとやる気にさせる。					
	3	 一応サークル定期発行漫画冊子は描いているけどぉ~最近マンネリ気味なんだよね、
     と思っているそんなあなたをワンランク上の漫画描きに押し上げる。	

アジェンダ						
	1.漫画の解剖学					
		1.1 漫画を描くってどういうことか				
		1.2 ギャグマンガの鉄則!?				
		1.3 果たして4コマ漫画はキミを漫画の世界にいざなうか?				
	2.漫画の精神学					
		2.1 理論ばっか達者になってもいいことないよ!				
		2.2 漫画を描く動機付けって何!?				
		2.3 書を捨て旅に出るのだ。そして家に帰って描くのだ。				
						
1.漫画の解剖学						
	1.1 漫画を描くってどういうことか					
	漫画を描くことは漫画を読むこととは全く違う人類の精神活動です。					
		漫画を描くためには				
			1.それなりに画力がある。			
			2.それなりに物語を考えるのが好き。			
			3.なんか描かなくてはならないという必要に迫られている。			
		以上の3点のどれか一つと鉛筆と紙があれば誰でも描けます。				
						
		漫画を描くとなると考えなくてはならないこと				
			1.魅力的なキャラクター			
			2.魅力的なストーリー(ドラマティックな展開)			
			3.魅力的なコマ割(絵じゃないんですよ漫画は・・・)			
			4.異常なる観察力からくる趣味性(なんです!アナタ!ジロジロ見ないでください!)			
						
		以上の4点の中で、最初の3点のうち1つが満たさればキミは立派な漫画描きです。				
		(4.も重要です。でも4.だけ満たしている人は最悪の場合捕まります。)				
						
		こんなに考えなきゃならないことがあるのか!!ちょうめんどくせい!				
						
		そうかもしれません、現実問題、面白い漫画を描くために世の漫画家は死ぬ思いで漫画の
    ストーリーを考えて漫画を描いています。				
						
	でもコツをつかめば漫画は誰にでも描けるものだと私は考えています。					

	1.2 ギャグマンガの鉄則					
	偉そうなことを言いましたが・・・俺結局ギャグマンガしか知りません(笑)。 
  しかし、ギャグマンガを作るにあたって自分なりのコツがあると考えているので、
  今日はそこから漫画の描き方を説明したいと思います。					
						
		ギャグマンガにだってストーリーがある?				
			ただおもしろそうなネタを出しまくればいいのではない。(ネタ)			
						
			1・出すタイミングが大事である。(テンポ)			
			2・出すシチュエーションが大事である。(シチュエーション)			
			3・出すキャラクターが大事である。(キャラ)			
						
			以上の3点がネタとバランスよく調和していないと笑いは起こらない!			
		→ これはストーリー漫画だろうが萌え漫画(一部を除く)だろうが共通の要素である。				
						
			(単純に読者が「ギャグマンガ」を読んだら「笑い」が起こり、『萌え漫画』だったら
       『萌え』が起こるという違いしかない。)			
						
		漫画で重要なのは「いかに伝えるか!?」である。				
						
	1.3 果たして4コマ漫画はキミを漫画の世界にいざなうか?									
		ではまず何から始めるか!?				
			オススメなのは4コマ漫画です。			
		なぜか!?				
			なぜなら、物語の基本構造は・・・起承転結だからです!			
			・所詮物語の構造はシンプルな理論なのです。			
			・4コマを描くと起・承・転・結を明確に意識できる。			
						
		だまされたと思って起承転結の4コマ漫画を描いてみてください。				
			ポイントは次の3つです			
			1.必ず起承転結に当てはめる。			
			2.できたら一晩寝かせる。			
			3.朝見返してみる。			
			以上の3点を繰り返します。			
						
			始めはまったく作品が面白くないのでへこみますが、確実に成果は上がります。
      もし面白い漫画が描きたい!と思うあなたは実践してみてください。			
						
		そこからあなたは確実に面白い漫画描きの扉を開くことになります・・・・				
						
		4コマ漫画が描けるようになってくると次は4ページ漫画です。				
						
			ポイントは4コマと基本的には同じですが、違いに気づきます。			
			・4ページのほうが話を大きくできる。			
			・多少ネタが面白くなくても展開次第では面白くなる!			
			・ワアォ!錬金術!な気分を味わえる!?			
						
		そうです。4つのコマ数では話の展開に限界があります。 しかし4ページになれば途端に
		物語世界が大きくなります。4コマで鍛えた起承転結に当てはめる練習の成果が一気に花開くのです。			
						
						
2.漫画の精神学						
	2.1 理論ばっか達者になってもいいことないよ!					
		江○達○の悲劇。				
			・漫画など所詮紙の表面のインクのシミの集合体			
			・萌えっこなんて所詮萌え要素の集合体(大○英○もよく言いますね)			
			・売れる漫画なんて所詮売れる要素の集合体(江○のキメ台詞)			
		・上記の見解は確かに正しい。しかしそればかり言ってると、漫画が急につまらなくなる。				
						
		・世の中にはとにかくタネ明かしをしたがる人が多い。				
						
	2.2 漫画を描く動機付けって何!?					
						
		ではなぜ人は漫画を読んで感動したり、涙を流したり、ハアハアしたりするのだろうか!?				
			・もちろんそこにはおもしろいストーリーを書けるようになるための理論や努力がある。			
			・それ以上に漫画を描きたいという情熱が存在する。			
						
		漫画って心躍るエンターテイメントじゃないですか!!				
			それを自分が作り出せるってことになったらどんな気がする?			
		せっかく漫画サークルに入ったんだし、エンターテイメントを作り出す喜びを知ってくださいな!				
						
	2.3 書を捨て旅に出るのだ。そして家に帰って描くのだ。					
						
		とは言ってもねぇ~あんま描く気しないし、単位はやばいし、正直魅力を感じない・・・				
			→それはピンチだ!落第点ラインだ!			
						
		・人は好奇心が無くなると元気が無くなります!(なにを唐突に!?)				
		・日々つまらないなあと思いながら、時間だけがいたずらに過ぎる毎日ならば、
     コミケ行ってハアハアしましょう!				
		・どうせハアハアするなら、自分でその対象(今でいうとけ○お○!の秋山ちゃん?)
     作りましょう!				
		・さらに「秋山ちゃんみたいな・・・こういうキャラがいたらいいのに」と思い始めたら、
     そういうキャラ作っちゃいましょう!
		・そしてそのキャラが活躍する漫画を描きましょう!(なにその○○・・・orz)				
						
	それを一緒に楽しんでくれる仲間が君たちにはいます!					
		漫画サークルにはそんなアナタを全力で応援するすばらしき先輩(変態)がいます!!				
		☆最後にキャラ作り、物語作りに関して非常に参考になる文献を紹介しておきます
                    :
                   (削除)	
                    :			
						
		◎「所詮・・・」ではなく、「どうせなら・・・」の思考で行きましょう!				
						
		では俺は言いたいことが言えたので、○○○に帰ります。ご静聴ありがとうございました!

■読んでみて思ったこと
・1.2章から先は読むのがつらい。
・当時私は持ち込みに失敗し、漫画や将来に苦悩していた時期で、その時の漫画に対する思考がそのまま書き下されている。ただ、以下について誇張というか無理して書いているなというところがある。
①”漫画描き”という自称だが、当時完成原稿は1つも仕上げられておらず、漫画を描けていない状態だった。少し無理があるかなと感じる。
②「1.2 ギャグマンガの鉄則」の箇所は持ち込みで編集者に言われたことをそのまま書いている。いわれた本人がそれを漫画で示していないので、説得力には欠けてしまう。ちなみに今も、この文書の通り描けば面白い漫画なのか私は示せていない。そろそろ説明責任を果たした方がいいのではないか。
③「2.漫画の精神学」に書いていることは、全部完成原稿を描いていない人間の言い訳に見えてしまう。当時の描けない自分に対して言っているように見えるかな。結局描かなかったんだけどね。
④一番最後の「それを一緒に楽しんでくれる仲間が君たちにはいます!」はなんかむなしいな。大学時代の私がそう思っていたからそう書いたのだと思うけど、振り返ってみると・・・ね~。

■最後に
記憶ではこの「漫画の描き方講座」は、実際に私が発表したのではなく、後輩に文書だけ渡して終わりだったと思う。その後、どのような形式で後輩たちが触れたのかは知らない。これを読んでどう思ったのだろうか。
今の私が見た感じでは「キャラクターとかギャグマンガとか精神学?よく分からないけど、漫画を描いた方がいいよと言いたいのかな?よくわからないけど」というのが率直な感想だった。当時の後輩たちはどんな感想だったのだろうか。
願いたいのは、この文書を書いた先輩を反面教師にして、漫画を完成させて、もし余裕があるのならより良い作品に向かって描き続けてほしいということだ。
あと、本人がこのnotes記事を読むことは、おそらくないだろうけど、当時依頼してくれた後輩にたいして、私はエラそうな態度で接してしまった記憶がある。本当に場違いあとは思うけど、この場を借りてお詫びしたい。
せっかく依頼してくれたのに、あまり実りのある文書を送れずごめん。もう少し説得力のある講座ができるように、漫画を描きます。


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