白金
白金は隣の白金台を背にして南側の高台から北側の古川にかけての低地にまたがる地域で、エリアとしてはそれほど広くはない。高台のエリアには上皇后美智子さまの母校でもある聖心女子学院や鎮守である白金氷川神社があり、低地エリアには北里大学白金キャンパスがある。
その高地と低地を分けているのが地下鉄白金高輪駅方面から恵比寿方面に東西に走る道路で、その道路に向かって三光坂や蜀江坂など趣のある坂道が下っている。いずれも北側に開けた道であり、坂の上の開けた場所では景色が良い。高地エリアは前述の通り学校の他、旧服部金太郎邸(現在の所有は海外の資産家らしい)を始めとする豪邸、某新興宗教系の施設などが立ち並ぶ。台地の中腹には「雷神山児童遊園」というのがあるが、これはかつてあった「雷神社(いかづちじんじゃ)」の跡ということらしい(現在は白金氷川神社に合祀されているとのこと)。
かつては低地エリアは工場が多かったのだがそれらが撤退した結果、最近はビルやマンションが立ち並んでいる。目立つのは北里大学のプラチナタワー(ちょっと名前は何とかならなかったのか・・・)だが、一方でその眼下の商店街の活気は今ひとつ。目貫の通りでは幾つかの古い家屋の商店がリノベーションを行っておりおしゃれなカフェやレストランとなっている。一方で芸能人も来るという洋食屋や、風呂屋なども立ち並んでいる。
天現寺橋の手前には慶應義塾幼稚舎があるが、これはかつてこのあたりに福沢諭吉の別荘があった事に拠る。裏側には古川にかかる狸橋というのがあるが、これは「子供を背負い手ぬぐいをかぶったかみさんにそばを売った代金が翌日みると木の葉だった」、という「伝説」によるもの。この辺りの古い景色は広重の浮世絵、江戸百「広尾ふる川」にも描かれている。
(撮影 2023)