第128回 失われた文化財
1、人類の宝20,000,000点
ブラジルのリオデジャネイロにある国立博物館が火災にあい、二千万点の収蔵品の多くが焼失したというショッキングなニュースが舞い込んできました。
1818年に開館した歴史ある博物館で、かつて王宮として使われていた建物だったそうです。ブラジルの先住民に館する資料や恐竜や動植物の標本など自然史資料も多数所蔵していたようです。
2、いつかはこうなる
これだけ重要な文化財であるにもかかわらず、この博物館は建物内にスプリンクラーもなく、消火栓には水が通じていなかった、という信じられない情報があります。
複数の関係者の証言によると、歴代大統領、政府の無作為が起こした悲劇だ、とされています。
歴史や文化に予算をつけない体制、ひいてはそのような政治家を選んだ国民の責任と言わざるを得ません。
国立博物館なので当然あるでしょうが、台帳などからどのような文化財が失われたという記録をしっかりと残して欲しいものです。
また責任のなすり付け合いで、原因を曖昧にせず、全世界の悪しき前例となるようにしっかり調査をして公開してほしいと切に願います。
また追加情報ではブラジル国民がデモや抗議活動を行なっているようですが、その情熱をことが起こる前に少しでも文化財に向けることができなかったのかと悲しくなります。
3、悲劇を回避するための道はまだ遠い
さて、我が国はどうでしょうか。
国立博物館は外からみる分には堅牢な防火や防災対策を施され、十分な対策を取られているように見えます
見聞きする範囲ですが、県立博物館、美術館も問題はなさそうに見えます。
問題があるとすれば、市町村立の博物館でしょう。
建てられて数十年が経過してかなり老朽化しているにもかかわらず、十分な補修がなされていない場面を何度も目にしてきました。
防犯にしても、よくこれまで何も無かったな、と思わせるお粗末な状況に空恐ろしくなる時もありました。
そのような現状でも住民アンケートでは、博物館への関心がそれほど高くないことが残念です。
だからこそ、歴史文化の価値が高まる社会の実現に向けて発信を続けていかなくてはいけないと思います。