第56回まず自治体職員からはじめよ
1、導入
わが町には復興支援で岐阜県大垣市から継続的に職員の派遣を受けています。
大垣市は松尾芭蕉の「おくのほそ道」むすびの地として知られており、その縁でずっと支援をいただいています。
先日祭りの準備でご一緒した際に少しお話しした際に
わが町を歴史に深みがあってうらやましいと褒めていただきました。
2、大垣市のケース
大垣市には古くは昼飯大塚古墳という考古学史上名高い古墳がありますし、
豊臣秀吉の墨俣の一夜城も大垣市です。
関ヶ原の合戦の前哨戦も大垣城をめぐる争いでした。
そして先ほどふれた「おくのほそ道」
街道と河川の流路が交差する流通の結節点として重要な地点であったことを物語っています。
十分深い歴史の厚みがありますよね。
3、土地の魅力を語るには
どんな土地にも歴史は積み上げられています。
もちろん粗密はあり、わが町のように、近代における大規模な干拓の前には水田適地が少ない場所においては
弥生、古墳時代の遺跡が少ないという状況もありますし。
近代に八郎潟を干拓した大潟村では50年程度しか経っていませんがそこに至る干拓の歴史が江戸時代から続いているのです。
そのような土地の歴史は人々に記憶され、郷土のアイデンティティとして形成されてきます。
それが、郷土に誇りを持つ若者を育てることになるのか、
「うちには何もない」
と嘆き、自治体職員となって県外に派遣されその魅力をアピールできるポジションにいるのにうまく語れないのはすごくもったいない気がするのです。
もちろん彼の名誉のために説明しますと、派遣されて日が浅いのにうまく溶け込んでくれるのはすごい能力だと思いますし、遠く離れた東北の地まで来るのは様々な苦労もあるでしょう。
それほどの彼でもとっさに郷土の魅力を語れないのは彼自身の問題ではなく、制度というか枠組みの問題のような気がします。
行政の職員たるものは基本となる歴史文化の知識を持ってもらって、地域を語れるようにならないと。
うちの町でも一度だけ新人職員向けに歴史講座をやったことがありましたが、一過性のものになってしまいました。
歴史文化がもっと尊重される社会を目指して。