第49回龍の起源から考える
1、導入
東北学院大学文学部歴史学会主催の公開講座 『人(ひと)と動物 人類誕生以来のパートナー』
が気になっていたのですが、中々日程が合わず、行ってくるという後輩に頼んで資料だけ頂きました。
昨日は
佐川正敏先生の「東・北アジアの先史時代における人と人物」
でした。
幅広い時代、テーマで研究されている佐川先生の講座ですので、
旧石器時代の人と動物の関わりから始まって、アイヌの送り儀式まで話が及んだようです。
聴きに行けなくて本当に残念です。
2、玉龍
その中でも気になったのが
中国の紅山文化の表象とも言うべき
「玉龍」
についての解釈。
紅山文化は戦前に日本の考古学者(鳥居龍蔵や濱田耕作らが関わっていたことでも知られます。
現在の地名で言えば河北省北部や遼寧省西部、内モンゴル自治区などに広がっていた新石器時代の文化です。
ヒスイなどの石を彫って動物の形にした装飾品が多く出土することで知られますが、その中でも龍が円形になっている「猪龍(ズーロン)」
というものが今回の話題です。
佐川先生の講座資料にも写真が載っていますが、
キャプション(図の名称)が
「イノシシ形ペンダント」
となっています。
もう少し説明を読むと
紅山文化の前の時代には
狩りの獲物として恵みを与えるイノシシを崇拝する伝統があり、この資料もそれを受け継いだものである。
ということが書いてあります。
紅山文化の玉龍を
龍を崇拝する文化の最古の証拠だという向きもあるが
それは誤りだ、ということらしいです。
3、龍の起源は
中国では龍は皇帝のシンボルともされる空想動物で、
ついそれは昔からのことのように感じてしまいますが、丁寧に見て行けば歴史的な経緯があるはずですよね。
先入観を持って資料を見るのはいけませんね。
ちなみに今考えられている龍の起源説としては
①昔、長江や漢水住んでいたワニ
②蛇など他の動物をシンボルとした部族同士が合流したことで、シンボルも合成していった
③出土した恐竜の骨から想像した
などが考えられるかと思います。
紅山文化も①の長江や漢水も、中国古代王朝(殷とか周王朝)の中心地でないことが若干気になりますよね。
ということで②が妥当なのではないでしょうか。
想像上の動物といえば、
今日も小学生を国宝の寺院を案内していましたが、ゾウとかバクとかサイとされる彫刻があります。
よくクイズで
「なんの動物かわかりますか?」
と聞いたりするのですが、なかなか正解は出ません。
江戸時代の日本人で外来の動物を実物見たことある人が少ないのでかなりデフォルメされています。
トラですら、猫みたいに可愛らしくなっていたりします。
空想の世界を独自の解釈で表現する。
これもステキな日本文化です。
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