第11回学校教育での活用について
1、導入
私の育った地域は比較的大きな古墳があり、小学校の中には竪穴式住居が復元されていた。
秋にはなぜか古墳時代をイメージした劇を古墳の上で収穫祭的な形でやっていた記憶がある。
ここまでどっぷりではなくても、小学校に近くの遺跡から出土した土器が展示されている、ということは少なくないのではないか。
ちなみに今は考古学者の端くれと自称しているが、小学生当時は全く興味がなかった。
2、小学校での展示活用
前にいた職場は政令指定都市で小学校も数多かったので、きちんとどの学校にどの遺物が展示されている、という台帳が整備されていた。
現在の職場でも小学校に出前授業に行った際などに、
「いくつか小学校に展示できれば。」
というお言葉をいただくこともあった。
正直言って躊躇してしまう。
確かに倉庫に死蔵しておくよりも
子供たちの目に触れる場所にあった方が
関心がもたれるかも知れない。
しかし、そのように理解ある教員、最初に展示に関わった先生も数年すると異動で他校に行ってしまうのだ。
子供たちのイタズラなどより、展示の経緯がうまく引き継がれず、なぜここにあるのか、何があるのか、どう活用すればいいのかがわからなくなってしまうことが怖い。
私のいる職場はかなり小規模であるが
故に教育委員会内部と学校現場の意思疎通がうまく行っていない事例がよく見られる。
その様を見ているととてもではないが遺物の散逸などに責任を負えない。
3、まずは環境整備
中学校、高校には部活動として地歴部や郷土研究部が存在しているところもあるだろう。
現在教員の勤務環境改善で運動部の部活動指導をアウトソースすることが話題になっているが、
地歴部や郷土研究部の指導を自治体の文化財担当者に任せてみるのはどうだろうか。
考古学の基本は
観察し、対象物の差異を見出し、その理由を考えること。
そのフレームワークは実社会でも十分役に立つのではないだろうか。
早速地域の学校に提案してみよう。