第80回温暖化をチャンスに
1、暑さはバージョンアップし続ける?
連日猛暑が続きますね。
昔はクーラーが普及していなかったのに熱中症とか大丈夫だったのでしょうか。
実際、猛暑日や真夏日は30年前よりも増えているということです。
私が子どもの頃から地球温暖化は叫ばれていましたが、ようやく実感が湧いてきました。
まずは不要不急の外出を避け、自分の身を守りましょう。
暑さに茹だりながら思ったことを整理しました。
2、環境決定論
人類の意志よりも自然環境の影響が歴史に大きく影響を与えた、という考えが環境決定論です。
歴史学というより地理学的な分野で、
E.ハティントンが1915年に出版した『気候と文明』の中で、
過酷な環境を克服しようとする努力が文明を生み出した
という考え方を提示して広く受け入れられました。
日本においては
山本武夫が『気候が語る日本の歴史』のなかで屋久島の杉の年輪を調べて日本の気候が温暖な時期と寒冷な時期を明らかにしました。
山本によれば15世紀は小氷期で環境が悪化し、戦国時代の混乱を招いたと指摘しています。
また中世(10〜14世紀)は世界的に温暖で農業生産が増加し、経済力や人口
増大した時代でした。
つまり、
寒冷期:作物が不作で、人口減。不満をもった民衆が反乱を起こすなど政情不安。
転換期:混乱から生まれた新たな指導者が枠組みを作って安定化。
温暖期:生産能力の向上が人口増加をもたらし、新たな技術革新や芸術分野での発展が見られる。
という理解でいいのでしょうか。
政情がまだ安定していた江戸時代後期の日本でも何度も例外による飢饉が起きていましたし、先にも触れたように過酷な環境こそ技術革新で乗り越えなければいけない場面にもなり得ます。
3、環境よりも人の営為を重んじたい
なんだか自分の主張が先にあって、そこに都合のいいデータを探してくればなんでもありな感じがします。
誰とは言いませんが、考古学でもそのような批判をされている学者もいました。
私個人としては、人の意志が歴史を作ってきたと思います。
初期人類がアフリカを出たのも、環境の変化もあったでしょうが、未知の土地への好奇心もあったと思います。
一万年以上続いた縄文文化を受け継ぐ人々が水田稲作を受け入れ、生活様式も変えてしまったのは、環境の変化で森の恵みが少なくなったこともあるかもしれませんが、未知の文化への憧れもあったと思います。
250年続いた泰平の世から目覚めて西洋文化を受け容れた江戸の人々も、新しい世界への憧憬があったからこそだったのではないでしょうか。
現代も温暖化が進むフェーズではありますが、ただ暑いからといって生産性を下げていては新たな時代への一歩が出遅れてしまうのではないかと思います。
温暖化からチャンスを見出すくらいの気概をもって進みましょう。