第90回オランダ正月とはなんぞや
1、江戸時代のパリピ
江戸時代の日本では太陰暦(月の満ち欠けを周期にした暦)が使われていたので現在使われている太陽暦とはズレがあります。
それを知った当時の流行に敏感な人たち、いわゆる蘭学者達が太陽暦の元日に合わせて開いていたのがオランダ正月です。
もちろん、おせち料理や餅ではなく、ワインにあう料理が出されてオランダ感を演出していたのでしょう。
江戸や長崎で盛んに行われている様を現代で言うとハロウィンパーティで盛り上がる若者達と比べては怒られてしまうでしょうか。
2、三賢人の名は今も
実は一関出身の蘭学者大槻玄沢が、江戸に開いた芝蘭堂という私塾でオランダ正月をやっていた様が
一関市立博物館の展示で復元されていたので関心をもったという次第です。
大槻家は
西の頼家、東の大槻家
と大坂の頼山陽と並び称された著名な学者を輩出した家柄です。
玄沢の息子盤渓は幕末の仙台藩校養賢堂の学頭としてオピニオンリーダーというべき存在になりました。
戊辰戦争の際に会津奉免の建白書を起草したことでも知られています。
玄沢の孫に当たる大槻文彦は国語学者として大成し、日本語辞書「言海」を編纂するという大事業を成し遂げたことで知られています。
個人的には母校に銅像があり、よく頭を撫でていた(今考えると畏れ多い)ことで印象深いですね。
なぜか母校では
初めて顕微鏡で精子を見た人
と伝わっていたのを思い出します。
男子校ならではのジョークだったのでしょうか。
3、郷土の子弟の模範となるような偉人に
郷土に誇れる偉人がいるというのはいいものです。
特に学問で名を成した人だとなおのこと。
宮城県もいつまでも伊達政宗公に頼らないで、顕彰できるような偉人を輩出したいものです。
政宗さんはそもそも米沢出身ですしね。
宮城県出身者の総理大臣もいません。
かろうじて仙台藩士出身の高橋是清がいるくらいですが、彼は江戸生まれ江戸育ちです。
東北全体に広げても原敬くらいでしょうか。
昔は優秀な人材を
末は博士か大臣か
と期待したものですが、今の若者からはどちらも魅力的に見えないかも知れません。
私たち大人が社会に希望を持って生きている姿を見せなくては、と思う今日この頃。
明日は同じ子育て世代に講演する機会をいただいたので、その意識を共有できるような話をしていきたいと思います。
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