第1463号 2024/3/3〜22の歴史ニュース
1、まだまだ寒いけれども
もう3月ものこり10日あまり。
我が職場でも人事異動の発表があり、落ち着かない日々が続いています。
今年の大河ドラマを見ている影響か春の除目にヤキモキする朝廷の人々を連想してしまいます。
さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。
ちなみに前回はこちら。
2、ニュースヘッドライン
①フランスのル・ムスティエ遺跡出土のネアンデルタール人が使用した石器からアスファルトの接着剤の痕跡を発見 R10
②鳥取県智頭町で園児が体験で作った縄文土器を展示 R8
③富山県魚津市で旧十二銀行魚津支店倉庫の国文化財指定を目指して取得へ R3
④大阪府大東市で三好長慶をしのぶイベントを開催 R21 C
⑤静岡県磐田市の社山城跡で出土した単価枚の年代測定 R14 C
⑥アメリカのテュレーン大学考古学研究チームが、LiDAR(ライダー)と呼ばれる技術を使い、グアテマラ北西部で調査を実施 R1
⑦静岡市の久能山東照宮の国宝の刀「真恒」拵え制作のためのクラウドファンディングを開始 R10
⑧韓国京畿道城南市の遺跡から日本の埴輪が出土 R7
⑨奈良市の杉山古墳でボランティアが草刈りを実施 R8
⑩埼玉県川口市で市指定文化財を有する土地が売却 R41 C
3、法整備は進まなくても
いかがだったでしょうか。
皆様の気になる話題もありましたでしょうか。
個人的には⑤の炭化米には驚きましたね。
記事によると出土したのは40年以上前。
それを改めて放射能炭素年代測定を行った結果、
1436~77年に焼かれた確率が約95%
ということですからすごいですね。
これほどまでに正確にかつ短い期間に特定できるものなんですね。
この時期といえば京都では応仁の乱(1467年から)、関東では太田道灌が活躍し、北条早雲が頭角を表し始める時期。
いつの戦いの戦火で焼かれたもの、と特定できるまでもうすぐですね。
そして⑧の韓国での調査成果。
百済王朝の時代、西暦でいうと5世紀前半代。
日本では大型の古墳が盛んに作られる時代です。
一方で彼の国ではすでに建物に瓦が使われていたので、埴輪が瓦と一緒に出土する、という日本ではみられない光景に!
日本最古の瓦は飛鳥寺に葺かれたもので6世紀末。
埴輪とは100年もの時代の開きがありますね。
最後は⑩の指定文化財維持の課題。
文化財に「指定」されたとしても、基本的に管理責任は所有者に帰するもの。
世代交代を契機に売却、というのはよくある光景です。
記事によると今回の対象となった神社は市の指定文化財。
所有者の変更など現状変更がある場合は、教育委員会の許可が必要。
とありますが、許可ではなく届出制の所も少なくないのではないでしょうか。
それすら厳密に守られないから美術工芸品などは特に所在不明となっている例も多いのです。
我が国は個人の所有権を大事にした法体系になっているからこそだと言えますが、文化財を守って行くには心もとない、ということもまた事実なのです。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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