第1496回 みちのくに咲いた真宗の華
仙台市博物館で開催されていた、この展覧会行ってきました。
前評判は、「ちょっと難しいかも」だったんですが、思ったより楽しめたのでシェアしていきたいと思います。
実はこんなに関わりが深かったんです
今年は親鸞が『教行信証』を著してから800年という節目の年とのこと。
浄土真宗と東北との関わりはあまり知られていませんが、実はこんなにあったんだ、というのが一言で表す感想。
まず導入で掲示されていたのが「松島の月」だったのもポイントです。
百人一首にも登場する蓮生法師も法然に師事して出家した僧侶ですが、
松島の月を読んでいたのですね。
親鸞の曾孫である覚如上人が訪れたことは『慕帰絵(ぼきえ)』という絵巻物に描かれているのでよく知られていることでしょう。
親鸞の生涯を記した絵伝は数多く残されており、少しずつバリエーションが違っているのも面白いですね。
京都の六角堂で救世観音から夢のお告げを受け、法然に弟子入りする「六角夢想」という場面や、亡くなった親鸞が火葬に付され、弟子たちが嘆き悲しんでいるところなどは漫画の一ページのように解説がなくても伝わる描き込み情報量です。
そして中盤は聖徳太子像と名号(南無阿弥陀仏)の掛け軸がこれでもか、と続いていきます。どれも東北各地の寺院に伝わったもの。
会津の無為信、安積の覚円、伊達の性意など福島県を中心に親鸞の高弟たちが拠点をもって布教していたのです。
岩手の和賀にも是信が足跡を残し、盛岡の本誓寺に受け継がれているとのこと。
戦国時代になると織田信長との石山合戦を戦う本願寺に対して、秋田の浄願寺、西善寺、岩手の光徳寺、宮城の称念寺、山形の浄福寺などが支援を行っていたことが残された書状から明らかにされています。
特に称念寺には籠城中の本願寺から矢文にして送られたとされる「箭文の御印書」の展示は注目です。
下間頼廉から兵糧の献納に対する礼状のようですが、遠く離れた陸奥の寺院とのやりとりが、代々伝えられてきたことは驚嘆という他はありません。
地元の郷土史家(実はもと仙台市市編さん室長)の方が書いたレビューに画像付きで紹介されていますので、こちらもご覧ください。
最後に国宝「三十六人家集」が、一つの部屋を使って贅沢に展示されていたのが印象的でした。
藤原公任が撰んだ平安時代後期の代表的な歌人36人の和歌が記された書物。
その料紙の装飾の豪華なこと。
ちょうどNHK大河ドラマ「光る君へ」で源氏物語を同じような高級な紙で作製して帝に献上しよう、という場面があったことを思い出しました。
おわりのあいさつ
いかがだったでしょうか。
本当は会期中にレビューを掲載して、これから行かれる方の参考になれば、とも思いましたが、間に合いませんでしたね。
今後も地元の博物館で開催される展示についてはレビューを載せていきたいと思います。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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