第1353回 縄文漬けの1日
1、うちの子の晴れ姿を
今日は隣町で開催された講演会に行ってきました。
その前に会場とはちょっと離れた場所ですが
我が町から貸し出した土器が展示されているのも見てから行きました。
うちの町の貝塚から出た資料が出張してる展示をようやく見れたヾ(*´∀`*)ノ pic.twitter.com/1iYnRrwHqw
— 綱渡鳥 (@tunawtaridori) December 18, 2022
今日はこの講演会に行ってきたヾ(*´∀`*)ノ pic.twitter.com/dnHePLy0as
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令和4年度奥松島縄文村講演会「縄文とアイヌ」
2、講演の内容から
講演1 関根達人 「縄文人とアイヌの生業」
講演2 奈良貴史「縄文人はどこにいった」
関根先生はもともと東北大で縄文を研究しており、
仙台城跡の調査から近世陶磁器を極め、
弘前大学に転勤されてからはアイヌ文化の第一人者となられる、という、
次々と専門分野を広げていくその様子から
個人的に峻烈な学究姿勢の印象を持っています。
東北人も含めてですが、なんとなく縄文文化をずっと維持し続けて
アイヌになったようなイメージを抱きがちなのですが
1200年にも及ぶ「時間的な断絶」でバッサリ。
詳細な物質文化の最新研究成果を紹介しながら
「狩猟採集民の精神構造」が結果的に時代を超えた共通性を生むのだ、と断言されたのはスッキリしました。
そして冒頭に紹介されていた、度々繰り返される政治家の「単一民族神話」に対し、内国化に対する歴史認識の欠如、とこき下ろすのは私自身も首肯するところです。
「内国化」という言葉は聞きなれないですが、要は最初から今の「日本国」という枠組みで不変なわけではなく、
時に「征夷」と呼ばれる、内戦で領域を広げてきた歴史があるのです。
アイヌの歴史も交易を通じて深く日本と繋がってはいたものの、
近世以降の同化政策で「内国化」、日本に組み込まれて行った、ということを「歴史」として知っていれば
「一国家、一民族」なぞとは軽々しく言えないでしょう。
このような「歴史」の学問としての価値を明確に主張できるところも「関根節」とでも言えましょうか、とても好ましいものでした。
一方で講演2の奈良先生の専門は人骨、しかも各部位を計測してそのデータを読み解くことで「縄文人」はどこにいったのか、
というような古典的な人類学の世界。
ちょうどニュースまとめで紹介した「自然人類学研究所」の所長を務められている第一人者です。
昨今はDNA研究が著しく進展し、食生活まで復元される時代。
ご本人もおっしゃっていましたが、より洗練を求められる手法であることは間違いないでしょう。
今回話された中で、最も印象的だった話題を一つだけ紹介すると、
大腿骨のような部位は縄文人は狩猟で野山を駆け巡っていたからか、とても発達し太くなっているのですが、
弥生時代以降の平野で稲作をする人々はそこまで発達していない、という傾向は知られていたとのこと。
ただ、山岳地域で暮らすような生活をしていると、縄文人と区別がつかない、ということがあるようです。
3、縄文サミット
3時間みっちり講座を受講したのは久しぶりでしたが、
内容以外にも開会挨拶の教育長や閉会挨拶の副市長の言葉からも
市の姿勢として文化財を活用していこう、という意気込みが感じられました。
来年度は縄文遺跡を有する自治体で構成される「縄文サミット」が宮城県の東松島市で開催されるとのこと。
今年は鹿児島県の霧島市で開催されていたようです。
来年のミヤギは縄文で熱く盛り上がりそうですね。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。