第54回明治150年と教育者の姿

1、近代女子教育の先駆者 朴沢三代治

宮城県に朴沢学園という学校法人があります。明成高校、仙台大学を運営している大きな法人です。

その創始者が朴沢三代治。

仙台市から関連資料の調査報告書が出版されたので、少し個人のFacebookでも触れました。

裁縫学校としてスタートしましたが、礼法・古典・音楽など女性として生きていく上で大切なものを積極的に教えた、ということです。

教育は男子のもの、という旧来の思想にとらわれず、女性指導者が数多く生まれました。

今年は明治150周年という節目の年なので、教育といった切り口から明治時代の意義を考えてみるのも面白いかもしれません。

2、江戸時代の教育

日本の教育について考えるキーワードの一つとして、

「近世日本の教育遺産群」という日本遺産に認定されたストーリーがあります。

茨城県水戸市、栃木県足利市、岡山県備前市、大分県日田市に所在する藩校などの文化遺産が構成要素となっています。

藩校は武士の子弟が中心でしたが、庶民にも門戸は開かれ、多くの人材を輩出しています。

江戸時代、庶民を含めて日本では識字率がきわめて高く、外国からやってきた宣教師たちがその驚きを書き残しています。

研究者から

「近世日本の教育こそが日本近代化の知的準備をした。」として高く評価しています。

とまで言われるほどでした。

3、現代の教育は

世界に誇る江戸時代の教育水準に加え、明治の偉人たちが裾野を広げた我が国の教育。

翻って今日の在りようは後世の人々にどのように評価されるでしょうか。

高等教育機関である大学が増え、誰でも長い期間教育を受けられるようになりました。

一方で奨学金が負債となって人生に重くのしかかる若者も多いようです。

すぐに利益をあげる実学が重視されて基礎研究が軽んじられ、文系学部の切り捨てまで言及されるようになりました。

IT関係の新たなサービス提供にはすぐに数億円の資金が集まる一方で

文化省の科学研究費の使途について、根拠のない批判がSNS上で流布しています。

先人たちが社会をよりよくするために力を入れてきた教育。それに比して恥ずかしくない制度になっているのか改めて考えてしまいます。

教育制度の比較研究から新たなシステムを生み出すためには人文学的な研究が不可欠です。

知識や教養が人生を豊かにする。むしろ知恵がないとよく生きられない。

私はそう確信しています。

歴史文化がもっと大事にされる社会が求められています。

#朴沢学園 #日本遺産 #近世日本の教育遺産群 #江戸時代の識字率

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