第96回 高校生に何を語らせるか
1、パリ行きのチケットは3枚
高校生ニッポン文化大使
という文化庁の事業があります。
秋本佑さんのTwitter @TasukuAkimoto
で知りました。
全国から12名の高校生を集めて上野の東京国立博物館で開催中の縄文展の見学やグループワーク、プレゼンテーションなどの研修を実施。
その中から選抜された3名をパリに連れて行って、あちらの高校生に日本の魅力を発信する、という企画のようです。
サイトをみると、昨年も実施されていたようで、言ってしまえばオリンピックに向けての盛り上げイベントの一種でしょう。
2、高校生が日本を学ぶことの意味
国策の思い通りになるのは少ししゃくですが、未来ある若者に外の世界を見せるのはすごくいいことだと思います。
選抜して3名なんて言わないで、もっとたくさん連れて行けばいいのに。
今時の高校生と接する機会はほとんどないのでよくわかりませんが、
日本についてどこまで知っているのかいつも疑問に思います。
小学校でも英語科目が必須となることが話題になっていますが、英語が話せるようになって何を話すのかが明確でないと意味がないと思います。
きっと海外の高校生は郷土に誇りを持って歴史もしっかり把握して臨みますので、日本のエリートの道を歩くであろう高校生が恥をかかないかが最も心配です。
3、縄文の魅力は日本の魅力なのか
縄文時代には統一された国家なんてありませんので、どこまでかか日本で、どこからが外国かなんて後世の人が勝手に考えたことになります。
それでもこの列島に共通点をもつ物質文化があったことは否定できないと思います。
むしろ古墳文化とか古代の仏教文化とかの方がより狭い分布であるようにみえます。
国家としてまとまるということは曖昧だった周縁と中心が明瞭化してくる、という側面もあるのかも知れません。
もし私がいま高校生で縄文文化の魅力を語るなら、
今の日本には失われてしまったもの、若しくは重要視されなくなってしまったものを挙げます。
自然への畏敬の念とか多様性の受容とか緩やかな変化とか
現状批判的過ぎて、政府に選ばれることはまずないでしょう。
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