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ほくほくの秋

近所の人から、さつまいもをたくさん貰った。家族三人で食べるには多すぎる量に、さてどうしようかと考える。土の匂いが珍しいのか、猫が袋に顔を突っ込んで鼻先や肉球を土まみれにしていて、思わず笑ってしまった。


さつまいもは、小さい頃からよく食べていた。おじいちゃんが落ち葉で焼きいもをしてくれたり、おばあちゃんと一緒にストーブで干し芋を炙って食べたり。母がレモンと一緒に甘く煮てくれたのも好きだった。

世間では栗の方が注目されがちで、栗を使った商品が圧倒的に多い。私も栗きんとんなんかは和菓子屋さんをはしごしてしまうくらいには好きだけど、それでもやっぱりさつまいもを推したい。

甘くほくほくしていて、腹持ちも良くて、料理にもお菓子にも使えるので飽きがこない。食欲の秋とはいったもので、やたらとお腹が空くので、特にこの時期はほぼ毎日さつまいもを食べている気がする。


そのままレンジでチンというのも味気ないし、たくさんは食べられない。というわけで早速、甘煮を作ってみた。砂糖を入れて煮るだけ。とても簡単なので、これは毎年必ず食卓に並べている。

次に、さつまいもサラダ。人参とハムと一緒にサイコロの形に切って、茹でて、マヨネーズと塩で味付け。マヨネーズが絡むとまろやかな甘さになるので、一味違ったさつまいもを楽しめる。

お次は、きんとん。皮を綺麗に剥き、柔らかくなるまで茹でて、水を切って砂糖とみりんを入れて、ひたすらつぶす。冷ましてラップで形を整えておしまい。食べる手が止まらなかったので、今度は倍くらい作ってもいいかもしれない。

それでもまだ余っている。せっかくなので、干し芋を久しぶりに作ってみた。おばあちゃんの家の縁側は南向きで、秋から冬にかけてとても日当たりが良い。そのすみっこを借りて、柔らかく蒸して平べったく切ったいもを、新聞に並べて置いた。待つこと一週間。まるまる六本分あったいもは、しっかりと固く縮んで、小さいビニール袋に納まる程度の量になった。ちなみに、数日で食べきってしまった。

まだまだ、食べたいものは尽きない。天ぷらも大学芋もスイートポテトも作って食べたいし、カレーや味噌汁にもいっぱい入れたい。



手を替え品を替え、色々作ってはいるけれど、時々無性におじいちゃんの焼き芋が懐かしくなる。いつからか、石焼き芋を売るおじさんもすっかり来なくなってしまった。

木枯らしの吹く寒空の下、庭で落ち葉を集めてきて、火をおこしてさつまいもを隠すように入れて。出来上がるのがひどく待ち遠しかったのを覚えている。アルミをめくると火傷するくらい熱くて、ちょっと皮の焦げた焼き立ては、びっくりするくらい美味しかった。

その美味しかった記憶が、ずっと続いているから、今もこうやって熱心にさつまいもを食べているんだろうなとつくづく思う。


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