Amazonロッカーでネットショッピングのストレスから解放されるから最高。
商店街が軒並みシャッター街と化した限界集落のおらが村の駅に、いつの間にか見慣れない青いロッカーが設置されていた。
調べてみると、どうやらこれは「Amazon Hub ロッカー」なるもので、Amazonで注文した商品を一時保管してくれて、好きなタイミングで受け取れるようになるサービスらしい。旅行や飲み会はおろか知人と会うことさえも憚られる大疫病時代、配達員と受取手が顔を合わせてやり取りするのはもはや「旧様式」ということだろう。ついていけるだろうか、この世界のスピードに。
ということで、新しいものは試したくなるオラゆとり世代、久しぶりにお買い物をしてみる。プライムビデオとMusic unlimited の奴隷になって久しくAmazonとの付き合いは長いが、そういえばお買い物は久しく利用していなかった。プライム会員の利点を、ここぞとばかりに味わっていく。
ロッカーのご利用方法はいたって簡単。欲しい商品をカートに入れ、購入画面にてお届け先を最寄りのHubロッカーに指定する。商品がロッカーに納品されたら通知が届くので、スマートフォンにAmazonアプリをインストールして受取に向かう。注文履歴より集荷(受取)を選択し位置情報とBluetoothをオンにすると、ロッカーがそれを読み取って荷物が収められたドアが開く。商品を受け取りドアを閉めれば、集荷完了というわけだ。
試しに、知人への誕生日プレゼント用で入浴剤を買ってみる。プライム会員なのでお急ぎ便を利用し、注文の翌日に商品が到着。恐る恐るロッカーに向かったが、上記の手順で簡単に受け取ることができた。物理の鍵やパスワード等を用いるのではなく位置情報とBluetoothによる認証に面食らったが、操作パネルすら廃したことで感染対策の側面もあり、コロナ時代に完全対応した大企業ならではのスピード感のあるサービスだと感じた。
非対面かつ好きなタイミングで受け取れるこのサービス。私はこれに病みつきになってしまった。ECサイトをよく利用する者として、サービスの利便性を享受しておきながらも受取には「その時間家にいなくてはならないという精神的な負担」が付きまとう。仕事の都合で帰りが遅れ、楽しみにしていた商品の代わりに不在票がポストに入っていたときの、あのガッカリたるや思わず上司の憎たらしい顔が浮かぶ。その上、自らの都合で受け取れなかったことを棚に上げて再配達を頼む申し訳なさ、かといって置き配は怖いので信頼できないという二重苦も重なり、気軽にネットショッピングを楽しむ気持ちを失いかけていた。
そこに来てこの“神”ロッカーの到来である。今の私は「ロッカー受取中毒」になっていた。先ほどの誕生日プレゼントの後、次は個人用に欲しかったゲームソフトを購入し、年明けの初売りセールでは普段手に取らないような高価な靴やマフラーなどをお得にゲットすることができた。そのすべてをロッカー受取に指定して、他者とのコミュニケーションや配達員さんを煩わせてしまう罪悪感を一切感じぬままに、商品を受け取った。
そして思わぬことに、「必ず商品を受け取れる」という気持ちは、何かと忙しい師走に不足しがちな心理的余裕を回復させてくれる。たとえ予想外のことが起き残業が発生しても、少なくとも受け取れないということはない。新発売の円盤も、ちょっとした日用品の補充も、大切な人への贈り物も、全て好きなタイミングで受け取れる。労働の励みになる楽しみとすれ違ってしまう焦りから解放された結果、かえって業務が効率よく進むこともあった。商品を買う以上の何かを、私はAmazonから受け取っていたのである。
物欲を満たすことは、自分の人生を満たす行為である。そんな名言があるかはわからないが、たった一つのロッカーが私の人生を豊かにしたことだけは確かである。何も怖れることはない。注文した商品を受け取ることへの心理的障害が無くなるだけで、人生は明るく輝きだすものだ。みんなも使おう、Hubロッカー!!ぼくからのライフハックは以上です。