Barcarolle 〈舟歌〉
晴れ渡った空の下、鶴見川の堤防道を自転車で走るとき、いつも頭の中に流れるのは、ショパンのピアノ曲「舟歌」。
軽快な8分の6拍子が、ちょうどママチャリを漕ぐのにピッタリなのです。
ショパンが技術の全てを緻密に織り込んで作った、最高傑作と謳われる高難度の曲。
舟を漕ぐリズム、波の揺らぎ、櫂から滴る水、きらめく水面
そこから急に、感情がほとばしるように流れが激しくなり
最後は、ゆっくりと収束してゆく。
病状が悪化し、恋人ジョルジュ・サンドとも破局。
失意の中にあったショパンが、舟上の二人を回想する曲をどのような想いで作ったのかと考えると…とても切ない。
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YouTube上では、名ピアニストたちの演奏がたくさんあります。中には、聴き比べと称して何人もの演奏をまとめている動画も。
そのような中で、私が気に入って聴き続けているのは…
2005年ショパン国際ピアノコンクールでのラファウ・ブレハッチ(Rafal Blechacz)氏の演奏です。
大観衆の視線が集まる中、極度の緊張と戦いつつ、若いピアニストが自身の未来を賭け渾身の演奏をする。それを映したコンクールの動画は、いつも私の心揺さぶります。(夏の甲子園の感覚…分かるでしょうか?)
このブレハッチ氏の演奏も徐々に感情が露わになり、まるで想い人をイメージして弾いているのではないかと、こちらまで胸が締め付けられる思いがしました。
そのようなところが、円熟したピアニストのリサイタル演奏とは一味も二味も違う、コンクール動画の楽しみなのです。
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ショパンコンクールでの舟歌の演奏といえば、
2021年の第18回ショパンコンクール、第二ラウンドの牛田智大さんの演奏も印象的。バラード4番が終わった一瞬の静寂の後、すぐに低音ドのオクターブが深く響き渡った時には鳥肌が立ちました。とても甘美な舟歌でした。
ところで、牛田さんは現在、リーズ国際ピアノコンクールに参加中です。第一ラウンドを突破し、現地時間12日夜に第二ラウンドが行われます。
次の2曲を演奏予定。
Takashi Yoshimatsu Piano Folio… to a Disappeared Pleiad
(吉松 隆:ピアノ・フォリオ…消えたプレイアードによせて)
Franz Liszt Sonata in B minor, S.178
日本人作曲家の現代曲を取り入れたプログラム。牛田さんの新たな挑戦に期待しています。
第一ラウンドの演奏はこちら ↓
モーツァルトのソナタがとっても素敵でした。
同じく、日本人ピアニスト丸山凪乃さんも、現地時間12日午後に演奏します。
Ludwig van Beethoven Sonata No.23 in F minor, ‘Appassionata’, Op.57
Frédéric Chopin Ballade No.4 in F minor, Op.52
Franz Liszt Hungarian Rhapsody No.10 in E major, S.244/10
第一ラウンドの演奏 ↓
硬質でソリッドな音が印象的でした。バッハが良いです。
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