返信

私を探さないでください

彼女から素っ気ないメールが届いていた

良かった
私は心から安堵した

一人だろうが二人だろうが
生だろうが死だろうが
略奪だろうが不倫だろうが

本当の人生はあなただけのもの
あなたがいいならそれでいい
あなたがこのままではダメになると言い出してからの
時間はとても長く辛そうだった

決める事が出来て良かった
死にたいなら死ねばいい
恋しいなら行けばいい

迷って狂ってを繰り返し
何もかもを怖がり面倒がって
それでもしがらみの中で何十年も
自分を捨てて頑張っていた

けれど
今はもう何も怖くはないのよね

あなたを動かしたもの
それが何だったのか少し知りたいけれど
また新しい一歩を踏み出したあなたを探す事はない

あなたと初めて会った日の事を思い出す
あなたは私を横目で見ながら控えめに
「真面目に頑張りすぎ」そう口にした
たったそれだけ
変えられない自分を指摘されたのに嫌な気はしなかった
ゆっくりと冷めた口調がとても寂しそうで優しさを感じた

嘘がつけない辛さを知っている人だと直感した

あなたがどんな道を選ぼうと
私にはあなたと出会えた記憶がある
多分お互いを忘れる事はない

さようなら
その一言を打って消し

「私が覚えているから」
そう返信した

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