女の子

女の子
幼い頃憧れる夢の一つにお姫様
お姫様は不思議な色の大きな瞳に長い髪
稀に見る美しさに映えるロングドレス
優しさやら強さやら能力やら

偶像のお姫様
民に自然に王に王子にとにかく愛される
必ず嫉妬され
必ず助けられるハッピーエンド

お姫様にお姫様の友達はいない。
シワシワでカサカサのお姫様もいない。

ぺージを開けば桃色の頬、微笑むような小さな唇
一番美しい瞬間を切り取って眠るように死んでいる。

女の子、少女、女子と呼ばれる年齢、そして性別は女の年齢。

お姫様なんて幻想だし現実は険しいばかりと憂う凡人女性
けれど心の中には幼い頃憧れたままの光る石
美しい若草色の草原にふんわりと丸く広げた白いドレス
咲き乱れる淡い小さな花々に微笑む
宙を舞う色鮮やかなオレンジ、バイオレット、ミッドナイトブルーの小鳥達
森からの小さな訪問者たちは大好きなお友達
みんなと作る花冠り、楽しい会話、ゆるりと流れる時間にせせらぐ小川。

魔女の秘薬など必要ない年齢を重ねれば皆同じ
シワシワのカサカサになり果てる女の子

夢は
誰にでも愛される
特別なお姫様

憧れは
誰よりも可愛らしい
永遠のお姫様

いつまでも
どこか夢見がち
女の子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?