隣家の朝

いつも通りに迎えられた朝
子供と簡単な朝食を済ませ慌ただしく身支度を終えて向かう玄関先
「今日のママはどう?可愛い?」子供は目線を上げて応える
「うん!ママはね、〇〇ちゃんのママより〇〇君のママより
うーんとかわいい。だからね、一番かわいいのはママ!」
「へへっありがとう!じゃあ出発!」玄関の扉を開け外へ出て鍵をかける
歩きだした途端子供が何かに怯えるように私の足にしがみ付く
「ママ今日はダメ。今はダメ。行かないで」

この子は時々こんな事を口にする。
遺伝かしら…私の母は重度の霊感体質だ。

「大丈夫よ、何がいるの?行ったらどうなるの?」
子供は黙ったまましっかりと目を閉じてしがみついたまま離れない
時計を確認 時間の経過を気にしながらも子供が落ち着くまでジッと待つ
今回の怯えは長いようだ私も遅刻の覚悟を決めて目を閉じた

目を閉じたまましゃがみ込み子供をそっと抱きしめた
瞬間
見えない暖かく大きな光に包まれた

抱き合う私たちを元に空へ跳ね上がる虹
高く高く遥か彼方まで大きな光の束が伸びて行く

その大きな光はだだっ広い空間をどこまでも支配し
たくさんの子供たちを興奮させ
朝の重だるい大人達を魅了した

毎朝起こる事ではないけれど
私の子供が起こす奇跡。
私と子供が起こす奇跡。

愛してるよママ

ママもあなたを
とてもとても愛してる
誰にも負けないんだから

ぼくの方がうんと好きだと思うのにな
ママはわかってないんだから

「ふふっ さぁもう大丈夫ね?行こっか」
「うん!手をつないでね」

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