秋虫

とろとろと滞りながら体内を巡る血液

鳴り響く半鐘の音か
家主の仕舞い忘れた風鈴が
狂ったように台風を知らせている

止まない思考はその他への関心を
慢性化した疲労は自分への関心を
過剰な投薬では自己を失い続ける

失いたい者は生き長らえ
私から全てを奪いつくす

一人きりの無音至福の時

ふと聴覚が反応した羽音

木霊する地縛霊の囁き

音色言葉をつけるなら

「私は此処にいる」

止まらず移ろう時
何もかも変わり果てるのに未だ存在する

安らぐ音色

いつまでも戻らない私の魂に似て

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