ライブ
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僕はステージ上の君を見たくて朝早くチケットを一枚買いに出掛けた。
ライブ当日。大荷物を抱えたままギリギリで会場入りした僕が目にしたものは
爆音の中 交差するライトに浮かぶ無数のチリと曲に合わせて空中でグルグルと回るタオルだ。
会場が一体化していた。僕は買いそびれてしまった回転するタオルを少し寂しく眺めていた。
そんな僕をステージ上の君の目が捉えていた。そしてこんな風に歌うんだ。
「僕を好きになれ僕を好きになれ僕を好きになれ」
一人きりで心細かった僕を励ましてくれたのは他の誰でもないステージ上で輝く君だった。
照れくさくて恥ずかしかったのに、僕の目も君に捉えられたまま離れなかった。
ただ生きているだけで、なぜだか無数の砂利が心の奥底に溜まっていって どんどん僕の気持ちを塞いでしまい とても苦しくなる。
そんな時、自分の砂利を全部吐き出して見せてくれる。
そして僕の心の奥底までガッツリ両手を差し入れて、勢いよく感情をかき回し砂利を吐き出させてくれる。
みんな君が好きだけれど、やっぱり僕も君が好きだ。
帰り際、小さくありがとうと呟いていた。
そんな僕を係員が怪訝な目で見ていた。
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