年上彼氏を侮るべからず。①
年上の彼氏とのなれそめのお話。
私には5歳年上の彼氏がいる。彼との出会いはマッチングアプリで、初めて写真を見たとき私は、
「この人絶対いい人!」
という第一印象だった。満面の笑みで笑う彼と、遠くから撮られたであろう全身の写真。プロフィールには3枚ほど載っていて。そのうちの、アイコンである写真を見てそう思ったのである。
と同時に、予感がして。
「もしかしたら私は、この人と結婚するかもしれない」
まだ話すらする前の、ただ写真を見ただけの状態で。そんなことを思ったのである。
◎ ◎ ◎
彼とアプリで知り合ってから、堅実にアプリ内で会話をして、ちょうど一週間後に会う約束をした。そのときにやっとLineを交換したが、電話がしたい、声が聴きたい、などの会話は一切なく。お互いがお互いの都合の良いタイミングで返信をし、会う場所を決め、当日を迎えた。
待ち合わせ場所に着いてから初めての電話で、彼の声を聞く。柔和な人物とわかるような声色だった。
ネットで仲良くなった人や、アプリで知り合った人と会うのは初めてではないし、むしろオフ会は好きだったりする人間の為、緊張はなかった。そしてまさかのお互い待ち合わせ場所を勘違いをするというハプニングを乗り越え、初対面。嬉しそうに笑う彼の笑顔を見て、写真の通りの人だと思った。
集合したのは夜の時間で、居酒屋でも行こうか~なんて話をしていたので、事前に彼の予約したお店へと向かう。一緒に歩いてると、こちらに気遣って歩いたり、顔をちらりと見ては、にこりと笑う。馴れ馴れしくもないし、会話はずっと敬語だった。
居酒屋の席に着き、ファーストドリンクを頼んだ後、彼は先陣を切るように自己紹介をした。それから、私も彼に倣って自己紹介をする。そのあとに彼が切り出した、
「せっかくなので、敬語をやめてお話しできればと思うんですが、どうですか?」
そんな真面目に言う人いるのだなあ、なんてぼんやり思ったが、その言葉がじわじわと「初めまして」を溶かしていった。
続く。