「女ともだち」1巻 一条ゆかり
9月に少女まんが館へ行って読んだ漫画の感想です!
🌷「女ともだち」1巻 一条ゆかり
「天ない」掲載本誌をしらみ潰しに調べた時、「女ともだち」のラスト2話がおもしろくてついつい読んでしまいました。。
話の経緯がまったくわからないまま大団円を見届けてしまったので、まずは1巻を読んでみました!
書誌情報:一条ゆかり「女ともだち」(1991、りぼんマスコットコミックス、集英社)
収録作品:「女ともだち」、「氷雨」
じつは一条ゆかり初めて読みました。やっぱり絵がきれい。神!!
ちなみに自分が少女漫画の読者だった頃は「プライド」連載中だったと思います。「プライド」のコミックス表紙しか見てなかったけど美麗でした。。
「女ともだち」
「女ともだち」ラスト2話を読んだ感じでは、主人公とその母はともに女優をしていて、最終的に硬派で大河な大作映画に母娘役で出演していました。
主人公は役者仲間の友だちと役を獲りあったり、男を獲りあったり、主人公の母も昔からのライバル女優と母親役を獲りあったりしていたような…感じでした。
1巻読んで意外だったのは主人公の女の子・菜乃(なの)はもともと一般人で、しかも文芸部に所属して文章を書いたり本を読んだりするのが好きな子だったことです。へー!
年齢は高校生で、進路のことをぼんやりと考える時期なのですが、女優の母・西願搖子(せいがんようこ)の派手な生き方を目のあたりにしているため平凡に暮らしたい…という現実的な願望をいだく一方で、平凡な恋愛や結婚が自分に務まるのだろうか…と自分の生来の我の強さもひしひしと感じている、、という普通の女子高生です。
美人女優・西願搖子は菜乃の母なのですが、連載初期では叔母ということになっていました。1巻の途中で実は実の母親だったとカミングアウトがありました。そういうことだったのかーー😳
のちに菜乃と男や役を獲り合う友人・こずえは高校の同級生で、おとなしそうな風貌をしている美女です。菜乃より先にモデルなど芸能活動をしている子でした。
おとなしいのですが、一般人だけど生まれながらに華があり自分軸を持っている菜乃に対して引け目を感じているもようで、菜乃との会話では自信なさげな発言ばかり。いい子なんだけどいちいち卑屈かもです。
本誌で読んだときにはあんまり意識してなかったけど、西願搖子のマネージャー(高木さん?)さんがかっこよかった…。女性です。
プライドの高い西願搖子に、デビュー時お世話になった監督の主催するパーティーに参加して顔を売るようびしっと指示します。各方面に筋を通すところがかっこいいです。
パーティーでいろいろあって搖子の衣装が破れ、搖子のライバル女優から着物を借りなければならなくなった場面も、搖子に対して手取り足取りサポートするのではなく信頼して見届けるところも超かっこいい(しかも搖子さんの良さをとてもよく分かっているし)。好きだ。
あと、搖子さん語録です↓
シスターフッドは女性の連帯を指し、女の友情は言葉通り女性間の友情を指すと思うんですけど、わたしはいろんな感情の詰まった女の友情のほうが好きだし、そちらによりほだされるたちです。
シスターフッドは思い入れによってというより立場がシスターフッド的行為を可能にする気がする。立場上連帯することが正当であれば実行できるものなんじゃないかなと感じています(シスターフッドにかこつけて女の友情を描いた作品については言及しません)。女の友情って『自分はこの関係性の友情を選ぶ』という意思と納得感と思い入れがないと実現できないものだと思うんです。
一方で、わたしは女の友情の真の魅力とはもろさだと思います。
もろもろにもろいからこそ、意思で続けるんです。かっこよくないですか??
女の友情をもろいと言い切るセリフに、それでいい…とじっと目を閉じたくなります。(さいとうたかをタッチの絵面で)
1巻の大好きな場面。
こずえは、ちょっと前まで一般人だった菜乃がひょんなことから映画製作陣から注目されるようになって初めて覚醒します。
前後の文脈あんまり覚えてないけど← このこずえはたしか、今まで菜乃に対して小さなことでもすぐ謝ってたのですが、もうそんなことはしない、親友なんかいらないと決意表明をするのです。この表情最高でした!!セリフも!!!
こずえ、やりおるな……と思うシーン。。
ここでようやく菜乃もこずえに対して、こずえも菜乃に対してそれぞれ対等になる…、というある種通過儀礼のような重厚感さえありました。
っていうかトーンのかかったこずえの絵が最高。みなさんも読んでみてください。(丸投げ)
このこずえの場面がうつくしかったのは、自分の欲望をまっすぐ認めているからだと思います。
たしか自分が本誌で読んだラスト二話のなかでこずえが菜乃に「菜乃は欲しいものをすぐに諦める」と指摘する場面があったのですが、そこに繋がっていくのかなあ。菜乃は自己主張があるように見えて実は無い女の子だし、自分の欲望を受け止めることが「女ともだち」の背景の大テーマなのかもしれません。
ちなみにコミックスカバー折り返しの部分に「男を取り合うなんてまるで縁がない、色恋抜きの楽しい学生時代だったな」という著者のコメントがありました。そうそう、女子の青春も大部分がバカとバカ騒ぎで構成されています…!
あとあんまり関係ないんですけど、本誌で「女ともだち」読んだときに、「のだめ」の二ノ宮知子の初期の画風(単行本「飲みに行こうぜ!!」収録の秘蔵漫画)って一条ゆかりだったんだ…!って気づいたんですけど、それであってるんでしょうか。。。なんとなくなんですけど。。
あらためて一条ゆかりを読むと本家はやっぱり巧いなと思ってしまいました…
「氷雨」
「氷雨」何年の漫画だったんだろう…メモし忘れました!けっこう昔の絵だったのですが…
Wikipediaによると1972年の作品でした。(感謝)
なんだか一転してすごい深い情愛の話で、怖さすら感じました。
若い女の人がお墓参りするシーンから始まるんですけど、その女性は小さいころ実の親を亡くしていて、親の知人でもある先生(作家だったっけ?)と呼ばれる男性がその子を預かって育ててたんですが、先生は実はその子の母親にもその子自身にも特別な感情をいだいていて… その女の子もうつくしく成長するのですが先生のことをすごく慕っている…みたいなプラトニックなんだけど危うい関係が描かれていました。
途中、先生と離れて生きなきゃいけないと女の子も決心し、いい人をみつけ結婚しようとするのですが、
…と、映画「キング・オブ・コメディ」(1982)みたいな結論(「どん底のまま終わるより、一夜の王になりたい」大好きな映画です)に至っていて、まじで超重量級の愛をいだく女性でした……。
「先生と生きる一年」っていうのはですね、先生は後半体調を崩し、余命が少ししか残されていなかったんです。それで冒頭、女性はお墓参りをしていたのでした。
次回は2巻を読むぞ~
やっと2冊目の投稿ができた…_( _´ω`)_
9月読んだ分はあと2冊……
内容忘れないうちに頑張って書きます!