「オルフェウスの窓」1巻 池田理代子

しばらくは2021年〜2022年にかけて少女まんが館を訪問した際に読んだ漫画の感想を書いていきます。
2021年6月に、初めて少女まんが館へ行ったときに読んだ漫画の感想!

🌷「オルフェウスの窓」1巻 池田理代子

書誌情報:控えてないのですが文庫版ではなくコミックスで読んだと思います(集英社、マーガレットコミックス)


つよい正義感と熱い心をもったユリウスがかっこいい…!

最初、イザーク視点から物語が始まって、なんとイザークがオルフェウスの窓からいきなりユリウスの姿を見つけてしまいます。これがユリウスの初登場シーンなのです。物語が始まって少しあとから登場するの、かっこいい!
ユリウスの勝気なもの言いもとても少年っぽくてかっこいいです。

ユリウスは相続のために男として偽って生活しなくてはならないのですが、家に帰っても意地悪な異母姉たちとやりあったりとか…いじめられてる母を助けたりとか…家庭も針のむしろという感じで大もめにもめていて本当に大変そう……

自分は3巻まで読んでから遡っていま1巻の感想を書いているのですが、ヴィルクリヒ先生関連の伏線は1巻から示唆されていたのか……

長女のマリアと次女のアネロッテは性格も嫌がらせのアプローチもちょっと違って、ふたりががっちり一心同体となっているわけではないところもおもしろいなと思います。
マリアは真面目でちゃんとしてるなあと思います。
ユリウスがヴィルクリヒ先生によって窓から落とされるんじゃないかと恐怖を覚えた後に、その理由を調べたいあまりマリアにヴィルクリヒ先生との過去の因縁があったのではと聞き出そうとしてしまいます。
ユリウスの行き過ぎた行為ですが、マリアは威厳をこめた態度でそれを制します。
↓そのあとのユリウスの思い

ぼくたちは
若くて……
だから
人間のこと
世の中のこと
なにもかも
知る権利があると
思いこんでいて
そしてたぶん
人の心の傷にまで
へいきで手をふれて
いたのだろう
「オルフェウスの窓」電子版(フェアベルコミックス)1巻 p167


ユリウスは、強く熱く、一本気でかっこいいようでいて
あまり自身の悩みや迷いを吐露する場面やセリフがありません。
男として過ごさなければならない苦痛も、母への思いも、ちょっとしたモノローグでしか表れてきません。

遺産など手に入らなくても、貧しい暮らしでも、なぜ二人で生きていくことだけではだめなのだろう、母にとって自分とは…女の子である自分は母の幸せをもたらす存在になれないのだろうか、という思いを
近い存在だからこそ母にむかって言葉にはできなくて、漫画の中でも礼拝堂で一人で歌っていて涙をこぼす場面などほんとに1コマの短い尺でしか描かれていなかったのが逆に印象深かったです。

こういう主人公の人生を貫く問いやテーマや希求するものは、話の中で繰り返し提示されたり、読者に分かりやすく言葉ではっきりと明示されるかなーと思うので、こんなに控えめに描くんだなあと新鮮でした。
自分を貫いているようでいながら自分というものを境遇や周囲の思惑に基づいて象っていくしかなかったユリウスのこれまでの『受け身でありながら力強い生き様』が、こういうところで表現されいるのかなと思いました。

そのシーンに気づけたことによって、ヤーン先生のゆすりから助けてもらった後 ゆるしておくれユリウス… と謝る母の言葉に思わず顔をゆがめて涙を流すユリウスの表情にあらためて深く心打たれました、、涙…。
お母さんからやっと聞きたかった言葉が聞けたんだなと思いました。


アルラウネの登場は2巻だったような気がするのですが、、1巻の終わりだったのか。。

というか実は最初、記憶だけで「オルフェウスの窓」1~2巻の感想を書こうと思ったのですが書いてみたらあまりにも記憶が失われいていて申し訳ない内容になったので電子版で読みなおしてちゃんと感想を書きました。。

1巻を少女まんが館で読んだのは1年以上前なので、果たして時の網に濾された記憶はどれほど残っているのだろうか…!と興味本位でまずは書き出してみたのですが、
オルフェウスの窓から誰が誰を目撃したのかもちゃんと思い出せなかったし(結局1巻には窓辺シーンが3度あり、イザーク→ユリウス、クラウス→ユリウス、ユリウス→落下、…と組み合わせが複数あったので決定的な記憶が残らなかったのだと思われる)、
冒頭イザーク視点で描かれていたのも忘れていたし、
ユリウスたちがピアノ専攻かどうかすらきちんと思い出せなくて、、

感想記事なのに何も内容を伝えていない感想が出来上がってしまいました。。
記憶だけの感想もそれはそれで何も伝わらなくておもしろかったんですけど、各方面に失礼な記事になってしまいそうだったのでお蔵入り。

2巻は今年読んだのでもう少し思い出せることが多い気がする。。
がんばります。


ちなみに「オルフェウスの窓」電子版はちゃんとオリジナルと同じ巻数・18巻に分かれているのですが、オリジナルのコミックスと収録話数が変わっていないかそれでもまだ信用できなくて不安です。。
細かいのか大雑把なのかよくわかりませんが、そんなことが気になります……

関係ないんですけど、子供のころベルばらを親戚の所有している文庫で読んだときに「オルフェウスの窓」も何冊か混じっていて、それはあのオルフェウスの窓の窓枠が表紙に描かれた集英社文庫版だったんですよね。
人物の描かれていないその表紙から、なんとなく「オルフェウスの窓」は大人向けの本格歴史物語なのだと思いこんでいました。

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