自炊の大海原に漕ぎ出す前に
入学式が終わって学生ならそろそろ新学期1回目の授業が終わり、新社会人なら研修が終わったやつも出てきているだろう。そしてさらに1週間ぐらいすると新生活に慣れてくるころだ。余裕が出てきたお前は「道具買いそろえて自炊デビュー♡インスタに料理写真いっぱいアップするぞ♡」と考えているかもしれていないがあわてるな。最初から気合を入れすぎると1年後にはフライパンにほこりがかぶりゴミ箱にはコンビニ飯の空容器が積もることになる。今日は料理の経験が家庭科の調理実習以外にないお前が自炊を続けていくための工夫を書く。これから自炊を始めて続けていきたいと思っているなら読むといい。
準備編
おまえは受験に役に立たないからと家庭科の授業を軽んじていたことだろう。馬鹿め。一人で生活するうえで家庭科は相当に重要な科目だ。自炊に限らず一人暮らしをするうえで重要な情報が目いっぱい詰まっている。お前が一人暮らしをしているかこれから先に一人暮らしをするつもりがあるなら、実家の押入れの奥底に押し込んだ家庭科の教科書を引っ張り出し読み返せ。
初心者用のレシピ本を1冊買っておけ。今の季節なら書店や購買の本コーナーに大量に出ているはずだ。中身を少し見て自分に合っていそうなものを買え。
最初は電子レンジ・炊飯器・深底フライパン・片手鍋・ボウル・まな板・包丁・木べら・お玉ぐらいあれば十分だ。必要だと思ったら少しづつ買い足していけ。既に道具をそろえていたなら無駄にしないためにも努力することだ。
コンロはIHでもガスでもいいが悪いことは言わないから2口にしておけ。1口だけだと不便だ。魚焼きグリルはなくてもまあ何とかできる。焼きたての魚を頻繁に部屋で食いたいかどうかで判断しろ。
炊飯器は最初は3合炊きでいい。まとめて炊いたりするなら冷蔵庫のサイズと相談して大きいものを買え。5合炊きでもかなり大きい。
こだわりがないなら米は無洗米にしておけ。コメを炊くのにかかる手間が3分の一以下になる。炊くときの米の量が変わることもあるからそこは注意しろ。米のとぎ汁を切るのに使うクリップがあると米研ぎ時間がさらに短縮できて便利だ。ボウルにつければざるの代わりにもなる。スーパーやホームセンターに売っているはずだ。たいしてしないから食材を買うついでにかごに入れておけ。こういうやつだ。
実践編
食卓に並ぶのはご飯・メインのおかず・サラダかスープ類か野菜系の副菜のどれかから1つの3皿でも十分だ。何ならパスタ一皿や丼物1品でも連続でなければ問題ない。お前の母親が平然とやっていたように5品6品が並ぶ食卓になるまでは経験と時間が必要だ。
多数のいいねがつくようなオシャレ料理に憧れるだろうがお前はまだ自分がどれくらい料理ができているか把握できていない。最初のうちは簡単な料理から始めろ。肉を焼いて焼肉のたれをかけただけでも十分だ。初めての自炊の味を噛み締めろ。
無理せず手を抜け。全部自分で作ろうと思わずクックドゥとかの料理の元にも頼れ。だが手作りもいい。気が向いたときにレシピを見て1から作るのもいいだろう。
金に全く余裕がないわけでもなければ3食すべて自炊で賄う必要はない。徐々に自炊をする回数を増やせ。そのうち慣れて自炊の割合を増やせるだろう。
同じ料理が続くことに抵抗がないなら料理はまとめて作れ。昼は食堂で食べたりすれば連続することも避けられる。ただし冷蔵庫の力を過信するな。ひとり身で寝込むのはお前の想像以上にキツい。ノロウイルスが重症化した時にはまじめに死を覚悟するほどだ。作ったら早いうちに喰え。
冷凍庫を活用しろ。肉や魚だけでなく下処理すれば冷凍が利く野菜も多い。捏ねてあとは焼くだけの状態のハンバーグや小分けにしたミートソースなんかを冷凍しておけば、料理を作る気が起きない日も短い時間で食事の準備ができるようになる。
時にはこの授業の単位を落とすと留年が確定するとかデスマーチで寝る時間も満足に取れないこともあるだろう。本当に切羽詰まって時間が無いときはスーパーやコンビニの出来合いのものにしておけ。自炊は大事なことをこなした後にしろ。
自炊がめんどくさくなってやる気がなくなっても米だけは自分で炊け。かかる食費がだいぶ違ってくる。自炊はまたやる気が出てきたら再開するといい。食費を浮かせることだけを考えるならご飯だけ炊いて総菜はスーパーで済ませるのが手間を考えると一番安く済むくらいだ。スーパーの総菜も物によってはかなりうまい。時間も金も無いときはうまく使え。
この先自炊の大海原に船出したお前が挫折し難破するか、宝を見つけまだ見ぬ新大陸を見つけるかはお前自身にかかっている。何事もまずは楽しむことだ。
おわり
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