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夜明け前の6時間【音声と文章】

山田ゆり
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※音声と文章、どちらでも楽しめます。

おはようございます。
山田ゆりです。


今回は
夜明け前の6時間
ということをお伝えいたします。



パーン!

私はその時寝ていた。
そして、ぬるいお湯が入った大きな風船が
破裂したような音を聞いた。
本当にその音を感じて目覚めた。

私は破水した。
すぐに起き上がり、
隣で寝ていた夫を起こした。

出産予定日まであと2週間くらいの夜だった。

私はすぐにかかりつけの産院に電話をして、
入院することになった。


入院準備用品は指導されたとおりに準備してあったから
それをそのまま持ち出し
夫のトヨタのカムリに乗った。
私はその時、助手席に乗る体力はなかった。

後部座席に敷物を敷いてもらって
そこに寝そべるようにして乗った。
上体を起こしていることはできなかった。



初めての妊娠であり
初めての出産を迎える。


会計事務所に勤務していた私は
妊娠36週の時に産休に入った。

それまでは1か月に一度だった定期検診は
妊娠10か月になって毎週になった。

37週の検診の時に
骨盤に赤ちゃんが下がってきているねと
先生に言われた。

38週の2月28日(月)朝6:50におしるしがあり
私は午前中に検診を受けた。

その翌日の夜中に破水をしたのである。
私は破水をしたらお腹の中に菌が入る可能性があるから
赤ちゃんにとっては危険な状態になる。

だから早く産まなければいけない
当時の出産・育児の書籍にはそう書いてあったのを覚えていた。

産院に着いた私は、陣痛はそれほどなかった。
初めての出産は時間が掛かるとも言われている。

長期戦になるのか。それでは困る。
早く産まなければ。

私は「産みたい」ではなく
「産まなければいけない」という義務感でいっぱいだった。



病室のベッドに横になる。
お腹や腰の辺りがだるくてしょうがない。
痛いのではなくだるかった。
夫に背中や腰をさすってもらったが
全く効き目がない。

夫は私に言われたとおりにしていた。
普段、大人しい私でも
その時は夫があまり役に立たないことに少しいら立ちを覚えた。

やがて陣痛の頻度が増し
私は分娩台へ上った。


ストレッチャーに乗せられて分娩室までいくのかと思ったら
自分で分娩台まで歩くように言われ
夫に支えられながら歩き
分娩台に自分で上った。


出産は病気ではない。

その時その言葉が脳裏を横切った。
そうだ。
私は病人ではないのだ。

自分は病気で来ているのではない。
それを自覚し、とにかく産もうと決意した。



初めての出産で
どうなれば産めるのかは
手探り状態だった。

分娩台に上ってからも
私はそれほど陣痛を感じなかった。

これは本当に長期戦になるかもしれない。
でも、破水してしまったのだから
早く産まないといけない。


下の方からグーンと突き上げるものがあり
その時にいきめばいいのが何となく分かってきた。



結局
翌朝5:48に長女を出産した。



「お眼めパッチリのかわいい女の子ですよ。」

20代前半の若い看護師さんの
その言葉はお世辞ではなかった。

生まれたばかりの赤ちゃんは
どちらかと言えば目の周りが
土偶のようになっていることが多い。

しかし、長女は本当に目がパッチリしていた。


かわいい。

そう思った。

思ったほど時間が掛からずに産むことができて良かった。

夫はとても喜んでいた。
そして、その日も仕事があるから家に戻っていった。


分娩所要時間:6時間
母子手帳にはそう記されている。




今日は長女の誕生日。

そして私が母になった日。


お誕生日おめでとう。
生まれてきてくれてありがとう。
いつもそばにいてくれてありがとう。



娘の誕生日が一つ増えるたびに
私の「親としての年齢」もひとつ増える。



自分の年齢の他に
もう一つの年齢がある。

自分の年齢は61歳だが
親としての年齢はまだ20代。



ふむふむ( ^ω^)・・・

だから私は
年齢の割には若く見られているのかもしれない。



老け込んではいられない。
娘たちのバージンロードを
夫の代わりに母親が歩けるらしい。

軽やかな足取りで
私はそのバージンロードを歩みたい。



〇〇ちゃん
お誕生日おめでとう。

親にしてくれてありがとう。





今回は
夜明け前の6時間
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。




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