ディケンズ 闇の中に描いた光
あいかわらず動画配信サービスを利用して海外ドラマにはまっています。
中でもディケンズ原作のBBCドラマがいくつかあるので、それらを見続けて止まらなくなってしまいました。『大いなる遺産』『リトル・ドリッド』と楽しんで、次に観たのが『オリバー・ツイスト』です。
『オリバー・ツイスト』
親に捨てられて救貧院で育ったオリバーの健気さに心をつかまれます。ディケンズが生きた1850年頃のロンドンは、華やかな商工業の発展の陰で苦しい暮らしをしているたくさんの人たちが生きるところでもありました。ディケンズはそういう社会の暗い部分からも目を背けず徹底的に描いているところも魅力です。
『荒涼館』
ディケンズの作品の中でもミステリー色が強いということで、登場人物がなんともミステリアスです。その1人エスターは育ての親ミス・バーバリーから、私生児として産まれた罪を背負わされ〈生〉を否定されて育ちました。そんなエスターが物語の中では、周りを明るく照らし救いの手を差しのべる人物として描かれていて深い感動を覚えました。
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ここまで見てしまうと、ディケンズ関連で残っているのは『ディケンジアン』だけとなりました。これが驚きの面白さでした。
〈内容紹介〉
もしもディケンズのキャラクターたちが、同じ街に暮らしていたら?
イギリスの文豪チャールズ・ディケンズが生みだした数々のキャラクターたち。ひとつの殺人事件が、やがて彼らを結びつける。
大胆なアイデアと濃密なストーリー、すべてのディケンズファンに贈る極上の文学ミステリー! ディケンズ文学おなじみの名物キャラクターたちが一挙登場!
内容紹介を読んでわかる通り、ディケンズの作品に出てくる人物が次々と登場してきます。『大いなる遺産』で謎めいた過去を持つミス・ハヴィシャムや『荒涼館』のデッドロック夫人の過去の悲恋が、このドラマでは明かされていて、これまで観てきた作品の様々なエピソードが縦糸と横糸のように複雑に絡み合い一つの素晴らしい物語として楽しめました。もともと「芋づる式読書」が好みの私には最高の作品です。今までにないドラマの楽しみを味わえて、BBCに感服しました。
「芋づる式」ついでに、図書館でディケンズについて少し勉強してみました。
いい加減原作を読まなければ。
『ディケンズ文学の光と闇』島田桂子
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