繰り返される日常こそが支えてくれる
午前中いつもの公園を走った。
冬の冷たい空気を感じて走るのは気持ちがいいことだ。
梢の向こうにこの時期は広く見える青空と太陽が眩しい。
最近、レベッカ・ソルニットの『オーウェルの薔薇』という本を読んだ。https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b615153.html
『1984年』や『動物農場』といった小説で全体主義管理国家でのディストピアやファシズムとの闘いなどを描き、抵抗の文学作家として有名なオーウェルだが、そのオーウェルは英国北部の田舎で庭いじりをし、野菜や薔薇を育てる人という一面があった。そんな彼の生活が家事日記という家計簿兼日記のようなものに残っている。
季節ごとの苗の注文とか、値段とかいった些細な日常の覚え書きには彼の小説の世界とはかけ離れた飾らない作家の日常が書かれている。
花や植物と触れ合うこと、自然の風景と田園の中で繰り返されるありふれた家庭の日常、それこそが戦争が繰り返されるような厳しい情勢の中にいる人間の心を癒してくれるのかも知れない。そんな内容が心に沁みた。
末の息子が高校3年生の頃から、この公園を歩いたり走ったりするようになった。もう4年が経つ。見慣れた風景ではあるが、季節ごとに少しずつ変わる木々や足元の雑草、毛繕いをしている地域猫。そんなものを横に見ながら走ることは、かけがえのない時間になっていると思う。
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