どこかにひそむもの
今日はあまり気分のいい話ではないかもしれません。
TVの情報番組などで、「ご近所トラブル」というのを見かけることがあります。騒音だったり、廃棄物の問題だったり、故意に隣家へ強い光を当てる「光害」などというトラブルを聞いた時には、そんなことまであるんだなぁと驚いたものでした。住まいというものは、そうは簡単には変えることができないだけに、そういう近隣住民とのトラブルは深刻なものだろうと想像します。
そんな他人事のように書き始めてしまいましたが、私も長年抱えていた悩みがあります。それは敷地にゴミが捨てられるということです。
我が家は昔から使われている地域の道路に面していて、大きな幹線道路ではないものの、朝夕は通勤通学でそれなりの人通りがあるところです。だから、これまで空き缶やお菓子の袋などが落ちていることがあっても、「ポイ捨てをする人がいるんだね。」くらいに思って、拾っては自分の家のゴミと一緒に捨てていました。
ところが、いつからか明らかにポイ捨てではないゴミが捨てられていることに気がつきました。何かというと、それは使い捨てのカミソリです。たぶん何本もまとめて買うような安価なものではないでしょうか。全く同じ種類の黒い小さな物体を繰り返し捨てていく人がいるのです。私はその事の意味を考えずにはいられませんでした。
楽観的に考えるなら、分別して捨てるのに困るような小さなゴミを通りすがりに捨てていくのかもしれません。それなら片付けるくらい別にたいした手間ではないのです。でも、そこに微かに悪意のようなものを感じて、恐怖にも近いような嫌な気持ちになりました。考えてみると日々の生活の中で知らず知らず誰かに嫌な思いをさせているともかぎりません。自分では普通に行動しているつもりでも、音や光などに対する感受性は人によってずいぶん違います。逆に関わりがないことへの訴えということもあるかもしれません。あれこれ考え込んでしまいました。
(その後のことは、さらに気分が悪くなりそうなので、ここまでにする方はどうぞやめておいてくださいね)
その後、どうすることもできないままでいましたが、11月になって私は例の黒いものが捨てられているのと同じ場所に、さらに大きな白い物体があるのに気がつきました。恐る恐る近づいて見ると、それは紙オムツでした。私はさすがにその場に立ちすくみました。今までにないたしかな悪意がそこに感じられ、私はなんだか具合が悪くなりました。
近所の信頼できる人に相談したり、夫とも対応について考えています。防犯カメラをつけたらとも言われます。でもそこで「犯人」が見つかったとしてどうなるのでしょうか。私にはわかりません。
社会には行き場を失って漂うさまざまな感情があふれている、そんなことを思っています。それは時々思いもかけないニュースとして私たちを驚かせたりもするものです。問題の大きさこそ違っていても、私にはこれも同じ問題に思えるのです。