私のライティングを支える「3つの底力」


企業も個人も、当たり前のようにSNSで発信する時代になり、「ライティング」「文章力」を身に付けたいという人が増えています。

私のライティングスキルは、少女時代からの「書く体験」や、編集やライターの仕事現場でのOJTで身に付けたもの。いわゆる体系立てて習ったものではないのですが、講座などでお教えする際には、系統立てたり整理したりしたりして、お伝えする工夫をします。

そこで、私のライティングを支える力を自己分析したところ、次の3つが浮かび上がってきました。

1.感情移入能力
2.にわかマニアック
3.ワンフレーズ思考


あくまで私の場合ということで、「これが不可欠!」というものではありません。ただ、私が私なりの「文体」を獲得し、文章スキルをアップさせていく中で、これが大きくものを言ったと思うのが、上記3つということです。


1つずつ、解説していきますね。

1.感情移入能力

文章を書くときに大切とされる「読者目線」。これは、すごく平たく言えば「読んでくれる相手の気持ちになって書く」ということです。相手の気持ちになるには、他人に感情移入して、ものを考える訓練が必要。

「訓練」なんて言うと硬くなりますが、特別なことはしていません。少女時代からの読書体験が「感情移入能力」を高めるのに役立ちました。


物語を読んだり、あるいは映画やドラマを観たりするときに、登場人物の気持ちに入り込んでいくことで、自然と「視点」が切り替わります。意識せずとも、自分とは違った立場、環境、性別、考えの人になりきることができるのですね。そのためには、物語の世界に没頭しなければなりません。批評家気取りで見るのではなく、身体ごと登場人物に乗り移る感覚でバーチャル・リアリティを楽しむのです。


もちろん、なりきれない、浸りきれないケースもあるでしょう。それは、それでOK。思考のサンプルを増やすことが目的なのですから。


本を読む時間がないというなら、テレビニュースを活用しても良いでしょう。街角の人の意見が流れることがありますよね。そういうとき「なぜ、この人はこういうコメントをするのだろう?どんな生活をして、どんな考えの持ち主なのだろう?」と想いを巡らせることも、感情移入能力を磨く契機とすることができます。


自分以外の人間の「思考のサンプル」をどれだけ持てるか。その数が多ければ多いほど、文章を書いて発信するときに「こういう人に向かって書こう」と即座に思い浮かべられる力につながっていきます。「読者の顔」を明確に思い浮かべることこそ、響く文章を書く秘訣。「感情移入能力」がそれを助けてくれるのです。


もちろん、他人の「心の内」がすべてわかるとは思いません。ですが、「他人になりきる」経験を重ねていくことで、理屈ではない身体感覚で「自分目線」から「読者目線」に切り替わるスイッチを入れられるようなるのは確か。他者への思いやりや、愛や、敬意。それらを基盤にした文章を書きたいというのが、私がもっとも大切にしていることでもあります。


読書と文章スキルの相関性については、以前にも書いているので、興味のある方はどうぞ。


2.にわかマニアック

たとえば、旅に出るとき、行く行かないは別にして、美味しいお店や観光スポットをできるだけ調べていきたいタイプです。友人と会食をするのも、あれこれお店を調べて、雰囲気・味・値段・場所など、満足できそうなお店を探すのも好きだし得意なほうだと思います。


充実した時間を過ごすために手間暇は惜しまないですし、それをあまり面倒とは思いません。


また、一緒にお仕事する相手やセミナーや講演を聞く方のことは、事前に徹底的にリサーチします。これは、編集者時代に培われた習慣でもありますが、私なりに「失礼のないように」とか、「お会いした時に会話が弾むように」という姿勢を大事にしたいという考えからくる行動でもあります。


「よく知ってますね!」と相手に驚かれることもありますが、自分に関心を持ってもらって嫌な気持ちになる人はいません。


そういう交渉術的なことはさておいても、基本的に「調べて詳しくなる」ことが根っから好きなのですね。たくさんの情報を知ることで良い選択ができたり、見えなかった世界が見えてきたりするのが、純粋に楽しい。「知った分だけ、世界が広がる」その感覚が好きなのです。


編集者にしろライターにしろ、「専門家」である必要はないですが、関わるプロジェクトに関しては短期間で広く浅く情報を収集し、知識を蓄える必要があります。好奇心旺盛に「にわかマニアック」にならないと仕事ができません。その点、私は適性のある仕事に就いたと言えるかもしれません。


私は好きなので自然にやっていることなのですが、仕事柄必要ないと「自分から調べる」「情報を取りに行く」習慣を持たない方も多いでしょう。でも、ブログを始めるなら、ぜひ好奇心旺盛に行動してみてください。そうでないと、継続して文章を更新するブログ運営では苦戦すると思います。


今の時代、インターネットなら、居ながらにして検索できますから、リサーチは心がけ次第で簡単なはずです。ただ、ネットはあくまで初級編。オフラインにもアンテナを張って情報収集をし、「マニアック度」を上げることで、量・質とも周囲と差をつけることが可能になるでしょう。


外出ついでに書店に寄る、1週間に最低1回はコンビニの雑誌コーナーを覗く、電車ではスマホではなく中吊り広告に目を走らせる、公共の施設に置いてある小冊子やパンフレットを手に取ってみる……などなど、貪欲に活字と触れ合ってみてくださいね。


「やらなきゃ」という義務感ではなく、娯楽の一部として生活の中に溶け込んでいくのが理想です。ちなみに、私の中では、ここは仕事と娯楽の境目がない部分。ふと目にしたものが、仕事のアイデアにつながればもうけ物というスタンスで、「趣味」と言ってもいいかもしれません。


3.ワンフレーズ思考

先日、こんな記事をアップしました。


ライティング講師をするようになってから、とくに「短く1行で言い切る」を意識的に実践するようにしていますが、私は昔からこういう話し方をしていたように思います。(書き方ではなく、話し方!)


「思う存分、だらだらパラダイスしよう」

「その彼って、疑惑のデパートじゃん」


など、印象的なフレーズを盛り込んで、「そうそう、いいこと言うね!」みたいな反応を取ったり、場が盛り上がるのが気持いい!みたな(笑)


ついつい、「一言」でまとめたくなる性分だからこそ、俳句にハマったとも言えるかもしれませんね。

noteでは俳句作品もアップしています。


多くの編集者が四苦八苦する書籍の本文の「見出し付け」(1冊にゆうに100くらいは見出し付けがある)も、大変ではありましたが、本のメッセージを自分なりの視点で浮かび上がらせるやり甲斐のある仕事として取り組んでいました。


こうした経験の蓄積が、ブログの記事タイトルを考える際にも役立っています。


書き言葉にしろ、話し言葉に白、丁寧にわかりやすく伝えようとする気持ちは大切。ですが、言葉を尽くせば尽くすほど、言いたいことから遠ざかるというのも、また一面の真実でもあります。


「結局」という言葉が示すとおり、言いたいことって、究極には一言で済んでしまうのかもしれません。だからこそ、「決めゼリフ」的な印象的な一言を搾りだす努力が必要とも言えます。


普段の会話の中で、「それって、○○だよね」「まるで、○○みたい」と、意識的にワンフレーズで言い止めるようにしていくと、あなたならではの「切り口」を伝える文章を書くことにもつながっていくでしょう。


以上3つ、どれも一朝一夕に身につくスキルではないかもしれませんが、ピンと来たものがあれば、ぜひお試しください。

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