ゆべしを今年も頼む
気がついたら二月も中旬になっていた。
そうだっ‼️ゆべしを頼まないと
と
去年頼んだところへ電話をする。
電話した先は、奈良県の十津川村の民宿。
去年ゆべしを頼んだのが一月だったから、もう一年以上前のこと。
「去年の一月にゆべしを頼んだ〇〇です。」
『あ〜〇〇さん❣️お葉書いただいたのに、お返事書けなくて御免なさい。』
うそ〜ぉ⁉️
一年以上も前なのに、それも一回電話で話しただけなのに、覚えてくださってるなんて。
そして私は、葉書を書いたことも忘れていた。
「ここに頂いた葉書が貼ってあるんです。お返事書いたのですが、何かとバタバタして送れないままでした」
自分の書いたものを目の前で見せられているようで、何だか恥ずかしかった。その葉書の字は丁寧に書かれているのだろうか。。そんなことが気になった。
そして、もうすぐゆべしがなくなりそうなので、とまた今年もお願いした。
去年と同じ6個。
『今年の出来はイマイチなんです。』
とおっしゃるので、
「いえいえ、こちらのゆべしを初めて食べた時から、いろんなゆべしを試したのですが、これに勝るものは見つかりませんでした。」
そう、ここのゆべしを食べたのは3年ほどまえ、十津川温泉に泊まった時。
晩御飯の一品として、スライスされたものの上にクリームチーズが乗せられていた。
初めて食べる味にびっくりして、宿の人に尋ねたら「ゆべし」という食べ物
を知ったのだった。
東日本で「ゆべし」と言われるものは、胡桃などがはいった甘いお菓子。
でも西日本の「ゆべし」は柚餅子だ。
柚子をくり抜いた中に、味噌や木の実、ごま、魚などを入れて、干し柿のように乾燥させた食べ物のこと。
奈良県の山奥で、冬の間のタンパク源として作られていたものなのだそう。
そしてその帰り道にお土産用にと、ゆべしを買ったのだった。
いろんなゆべしがあるので、見つけるたびに買った。
家に帰ってから、ワクワクしながら食べてみた。
でも、どれもこれもあの味じゃなかった。
なぜなんだっ⁉️と悶絶した。
ゆべしというのは各家庭で作られていたもので、材料などはその家によって違うらしい。
でも似たようなものはどこかにあるに違いない、と、それからは、取り憑かれたように探し回った。
奈良か和歌山にはあるはず、とその地方に行く前にゆべしの取扱店を調べておくのだ。
でもどれを食べてもあの味じゃない。。
そして探すことを断念して、初めて食べた宿に電話して聞いた。
あのゆべしはどこで買えますか、と。
それは、宿のご主人の知り合いの人が作っていてお店では売っていない、とのこと。
え〜っ⁉️だから見つからないわけだ。。
その方から買うことはできますか❓と尋ねると、連絡先を教えてくれたのだった。
それがそのゆべしを作っている方との出会いだった。
去年初めて頼んだ時、その作り手の方の言葉に感動した。
「では特別においしくなるように心を込めて作りますね。」
そうして、一月ほど経ったのちに送られてきたゆべしは、それはそれは美味しかった。
去年のものは残り一つ。
今年のものが来るまで、ちびちびと食べて待つことにしよう。
そして丁寧に葉書を書こうと思った。