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【roots】老年期 《35章》矢車菊の花畑・2

昨日の続きから

10分後には道に車が停まってシャーロットが一目散に駆けてきた。店のドアを開けるないなや、
「心臓が止まるかと思ったわ!ルビー!デイブなのね!」シャーロットはもうすでに涙を堪え切れずに泣いていた。2人をハグして号泣。
デイブとルビーは2人が自分たちを忘れずにいてくれて、こんなにも再会を喜んでくれる事に心から嬉しかった。

シャーロットの様子を見て、お店の女の子はますます混乱してしまった。古い友人にしては2人が若すぎるし…そんなに泣くほど嬉しい再会…15年ぶり?思わずカウンターから身を乗り出して4人を覗いている。その姿にオスカーが笑い出して。
「この2人は僕たちにとってとても大切な人なんだ。デイビッドとルビー」と紹介してくれた。
「こんな幸せそうな再会を見るの初めてです」と女の子は戸惑いながらも応えてくれた。
その言葉に4人はまた嬉しくなって手を握り合った。

*****
シャーロットは2人を連れて車を走らせた。

懐かしい。あの森だ。
タイラーが建ててくれた家。変わらずにまたここに住めるなんて。柱に壁にソファーに手を触れて喜びを噛みしめた。

ピンポン
「あら?チャイムがついてる!」とルビーが言うとオースティンがドアを開けるなり「オスカー!オーウェンが!!」と中に入って来た。
「オースティン!!」デイブが言うとオースティンは「デ、デイブさん。うちにはオーウェンが帰っています」とびっくりマークを顔に出しながら答えた。「そう!またよろしくな」とデイブが微笑むと「こちらこそ…何か変な感じだな」とオースティン。「はじめまして。ルビーよ」とルビーが手を差し出すとオースティンは握りかえして「噂通りの美女ですね。ちょ、ちょっとおれパニックなんで、また来ます。」と頭を下げた。
「シャーロット良かったな!」とオースティンは言うと走って帰って行った。
デイブはその姿を窓から眺めて嬉しそうに
「足、大丈夫なんだな。良かった」と言った。

*****
テラスから庭を眺めた。一面畑で良く整備されている。
「頑張ったな。立派な畑だ」デイブが呟くと
「ありがとうございます。デイブが許して下さったから、お庭を畑にさせて頂いて。15年一生懸命土を育てて来ました」シャーロットがオスカーの頑張りを伝えてくれた。シャーロットがどれだけ支えて来たかわかる言葉だった。デイブは優しく微笑んでうなづくと
「あれ食べたいな。オスカーの」と言った。
「もちろんです!一番に食べて頂きたいわ。あと…もし良かったら。ルビーのスープも作って貰えませんか?」シャーロットは本当に優しい。
オスカーを想ってくれる気持ちが伝わる。
「喜んで!」ルビーが立ち上った。

8時過ぎ、お店を閉めてオスカーが帰宅した。
ドアを開けるなり「あのスープ!!してくれたの?」と駆け込んできた。また涙ぐんでいる。
「オスカーのパスタとルビーのスープで夕食よ」とシャーロットが声を掛けた。
「オスカー、おかえり」とデイブが立ち上がった。ここにデイブがいる。オスカーは感無量で声を詰まらせて「ただいま。」とささやかな声で応えるのが精一杯だった。
シャーロットがオスカーの手を引いてダイニングに座らせてくれた。4人揃った。
「頂こう」とデイブが言うと
「頂きます」3人が声を揃えた。
ふっと笑い出して和やかな話の尽きない夕食となった。
懐かしく。温かく。美味しさと幸せを噛み締めて森の夜は更けていった。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀


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