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【roots】老年期 《32章》ここから

次の日畑が出来そうな場所をオスカーはデイブと探しに出掛けた。
小川が近くにあって陽当たりが良いよく肥えた土。「ここが1番家に近いね」オスカーが言うと
「毎日通うんだから、近い方が良いよ。道具もあるんだし」とデイブが辺りを見回して答えた。
「デイブ、アリソンの家はね。台所から畑に出て収穫してすぐ料理に出来るんだよ」
「それを目指しているのか?じゃあ、いずれはここに家を建てられるように考えないといけないね。小川の近くが畑で、この辺りは家だな…。大きさとしては丁度良いんじゃないか?シャーロットと相談してみたら良い」デイブがオスカーを見て言った。
「デイブ…僕らさ、ずっと4人で暮らせないかな?」デイブは驚いて目を見開いた。オスカーはデイブが何か言う前にと続けた。
「2人がいてくれたから、僕たちは出会えたんだって。シャーロットもずっと4人でいたいって言ってくれてるんだ」
「そんなこと…いいんだよ」とデイブは微笑んだ。
「シャーロットもそうしたいって!」
「優しい子だな。2人でもう一度よく話して決めなさい」
「うん、話してみるけど…」
「それなら帰って。庭に畑が出来るかみてみるか」とデイブが言うとオスカーは嬉しくて嬉しくて「うん!ありがとう!!」とデイブに抱きついた。2人は肩を組んで家に向かった。

オースティン?起きた?」ドアを軽くノックして中に入った。オースティンは布団に包まっていた。「寝てるの?」と布団を覗き込むと小さな唸り声が聞こえた。
「オースティン!!どうしたの⁈」
大きな声にオーウェンがやって来た。
「どうした?」
どうやら高熱が出ているみたいだ。汗が凄い。
足の包帯から血が滲んでいた。急に重症化している。救急車を呼んで運ばれる事になった。
オーウェンが「俺に任せて、家に帰ってろ」と救急車に乗って行ってしまった。

オーウェンはオースティンの手を握って
「大丈夫だ!必ず戻れる!」と言って励まし続けた。
オスカーは救急車を見送るとトボトボと家へ向かって歩いた。
テラスに座っていたデイブが気付いて「どうした?」と声を掛けた。オースティンの事を説明してオーウェンが病院へ行ってくれたと話した。
「あぁ、それは。オスカーを病院へ行かせたくなかったんだ。僕が昔に飛び降りた所だからね。オスカーにまで何かあったらと思ったんだろ。大丈夫。彼はオスカーの守り番だろ。必ず戻ってくるよ」と話すデイブの顔がいつもと少し違った。
「あの病院か…」

オスカーは胸がザワザワして朝食もうわの空。
片付けもせずに部屋に入った。みんなは一日そっとしておいた。そのおかげか、夕方になると少し気持ちが落ち着いて部屋から出た。

ルビーとシャーロットはパッチワークで何やら作っていて楽しそうに、デイブはロッキングチェアでウトウトしていた。
ドアを開けて1番に目に入った幸せな眺めに心がほころんだ。
「オスカー、お茶飲む?」とルビーが声を掛けた。「うん。自分でするよ」と言うと「じゃあ、私も!」「私も!」と2人明るくのってきた。
デイブが目を覚まして「大丈夫か?」と聞いてくれた。「うん。もう大丈夫」と言うと側に来て
「こうやって影に忍び寄られてしまうと、どんどん大変な方に向かってしまう事がある。僕もオーウェンがやられた時は堪らなかった。気持ちわかるよ。きっと大丈夫だと信じるんだよ」と肩を叩いた。「うん。ありがとう」

*****

夜オーウェンが来てくれた。
少し入院するけど命に関わるとか歩けなくなるとかじゃないとわかってホッとした。
「あそこ、変わってなくて。古い病院だよな」
「ありがとうオーウェン。オスカーを行かせないでくれて」
「気持ちが弱いと連れて行かれる所だからね。…俺もオースティンが可愛いんだ。息子みたいに思ってる」とオーウェンが俯いて言った。
「ありがとう」オスカーは言った。
「やっぱり…あいつの仕業か」デイブが呟いた。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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