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【小説の書き方】ラストシーンから作る逆算の長編小説!たった一つの言葉で書けてしまう思考方法を解説 小説講座その7

ここまで様々な練習をして貰いました。これからいよいよ、本格的に物語を作っていきます。

物語の作り方は沢山ありますが、特にオススメなのがラストシーンから逆算して作る方法。これさえできる様になれば、物語が途中で破たんする心配はありません。


思いついた言葉から逆算で破綻しない構成を考える

小説のアイディアの出し方は人それぞれです。突然ラストシーンが思いつく人もいれば、キャラの設定から作り始める人もいます。

こういう作り方は経験が必要で、どちらかといえば既に一作品書いたことがある人の思いつき方でしょう。

まだアイディアがない方におすすめなのが、『言葉で思いつく』ことです。たとえば以下のようなワードを思いついたとします。

  • 「回復魔法で整形も戻ってしまった」

普通に考えると回復魔法は、怪我や状態異常を治すもの。でもその治すって、実際はどんなものを指すのだろう?もし整形した人に回復魔法を掛けた時に、整形前に戻ってしまったら……。

そんな小さな思い付きが、物語の始まりになります。

既に自分の書きたいアイディアがある人は、その物語を一言で表すとどういうストーリーなのかを考えてみてください。もちろん今まで書いた対話式小説の中から、長編にできそうなものを選んで貰っても大丈夫です。

これまでに書いた対話式小説から長編にできそうなものを探す
長編にできそうなものがあればそのストーリーを一言で表してみる
長編にできそうなものが無ければアイディアを考えてみる
思いつかなければ先にレッスンを読んでから改めて考えてみる

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思いついたワードで起きるラストを考える

「回復魔法で整形も戻ってしまった」というワードから考えると、2通りの結末が思い浮かびます。

1つ目は「整形美人が元のかわいくない顔に戻ってしまった」で、2つ目が「整形失敗してたけど、それが治って好きな人の好みになれた」と言ったところでしょう。

今回は1つ目の「整形美人が元の顔に戻ってしまった」案を採用してみます。これだと構成がシンプルな「ざまぁ系」になることでしょう。

思いついたワードでラストシーンを考える

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そのシーンを活かす人物を考える

「整形美人が元の顔に戻ってしまった」というラストシーンは決まりました。ではこの設定を活かす、人物構成を考えていきましょう。

取り敢えず今回の物語の主役を「女の子」にしてみます。主人公が元の顔に戻るのではざまぁ系にならないので、「やられ役の整形美女」が必要になるでしょう。またその「整形美女の取り巻きの男子」なんてものも置いてみます。

これで「主人公の女の子」、「ライバルの女の子」、「ライバルの女の子の取り巻きの男子たち」という構図が決定します。

この構図から見えてくるのは、「整形美人が元の顔に戻ってしまった」⇒「顔が元に戻ったので取り巻きの男子が離れてしまう(主人公の女の子の方になびく)」という結末でしょう。

そしてもちろんライバルの女の子に回復魔法をかけるのは、主人公の女の子。設定を詰める段階で変わる可能性はありますが、一旦大枠はこれで行きます。

ラストシーンに必要な人物を考える

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その設定を行うための世界観

ラストシーンの大枠が決定したので、次はそのラストシーンを行うための世界観を決めていきます。

このラストシーンには、回復魔法と整形が必要。当然回復魔法なのでファンタジーであることが前提です。そして整形を行う医療技術があることも外せません。

なら現代ファンタジーかというと、そう言う訳でもありません。「ライバルの女の子が回復魔法で整形が戻る事を知らない」必要があるのです。

もし整形が回復魔法で戻ってしまう世界であれば、整形をした医者がライバルの女の子に注意事項として説明している筈。しかし今回の話では、それをされると成り立ちません。

ライバルの女の子が忘れているとか、引くに引けなくなったとか理由は付けられます。が、それだと設定がごちゃついてしまい、ざまぁ系の爽快感は失われてしまいかねません。

これを成立させる一番自然な設定は異世界転移です。「ライバルの女の子が現代で整形をした」⇒「異世界に飛ばされたので回復魔法の仕様を知らなかった」という形ですね。

ついでに主人公の女の子も、取り巻きの男子たちも一緒に異世界にいって貰いましょう。すると「主人公の女の子とそのクラスメイト達が異世界転移をした」という設定に収まります。

ラストシーンにマッチする世界観を明確化する

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ラストシーンを対話式で描いていく

ある程度設定が固まった所で、ラストシーンをいったん形にします。ここで使うのが対話式です。

メモ代わりに、設定から思い浮かぶラストシーンを書き起こしていきます。なれれば書かずに、頭の中でキャラを動かすだけでもOKです。

今回は説明し易いように、先にキャラを決めてしまいます。実際は先にシーンを考えてから、キャラの設定を詰めていっても大丈夫。

あくまでもこの手法は多くの方が分かり易いように、再現性の高い方法を一般化したものでしかありません。

思考方法は人其々なので、これを参考にしつつ、細かい部分は自分の方法を優先して大丈夫です。

ラストシーンを盛り上げるキャラの設定を考える

ラストシーンは大きく盛り上がる必要があります。

今思いついているものは「整形が回復魔法で元に戻る」ですが、これは物語で使う「トリック」でしかありません。必要なのは「劇的な結果」です。

なので、今から物語のもたらす結果を考えていきます。取り敢えずライバルキャラ周りから、劇的なラストシーンになるように考えていきましょう。

まずライバルキャラは、「整形時には美人で、整形前は美人ではない」というのが必須。そして今回は嫌なやつであることが絶対条件です。

なぜなら整形して美人になること自体は、全くもって問題行為ではないから。ただ整形して自分に自信を持っただけの良い人を、回復魔法で戻してしまってはかわいそうなだけです。

使い古された方法ですが、ライバルキャラを叩くために、勧善懲悪・因果応報に則りましょう。

ライバルの子に「異世界転生をした時に美人だけが使える魅了魔法を手に入れ、一緒に転生してきたクラスメートたちを従わせている」なんて、鼻につく設定を付けてみます。

これによってライバルの子が痛い目に合う理由が明白になった事に加え、「回復魔法で整形から戻った時に、魔法も従わせているクラスメートも失ってしまう」結果が生まれました。

スカッと系として「劇的な結果」と言えるでしょう。後はそれに合わせて他のキャラクターを組んでいきます。

  • ヒロイン:小林。回復魔法を使える。綺麗系じゃなくてかわいい系

  • ライバル:樋口。整形美人で、美人しか使えない魅了魔法で男を従える

  • 男A:元クラスメイト。樋口の取り巻き

  • 男B:元クラスメイト。樋口の取り巻き。小林さん派

今の時点では仮り決めなので、これくらいで大丈夫です。クラスで異世界転生をしているので学生にしたいのですが、中学生以下にすると整形があまりしっくりきません。

女子高生だと稀に整形をしている人がいるので、高校生にしておきます。

ラストシーンに登場するキャラの設定を仮決めしていく

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対話式でラストシーンを描く

次はこの小林と樋口、取り巻きの男達を使って、対話式でラストシーンを書き起こしていきます。

場面としては、回復魔法を使う必要があるので、怪我した樋口を治療するところから始めましょう。

対話式小説がうまくいかない方は、初回の講座を再度チェックしてみてください。当時見落としていた何かが見付かるかと思います。

樋口「あんた!私も治療しなさいよ!」
男A「そうだぞ!樋口さんを治療しろよ」
男B「そうだそうだ、早くしろよ小林」
小林「ちっ……分かったわよ。でも後悔しないでよね?」
樋口「は?後悔?なにそれ、ちゃんと治療しないってわけ?」
男A「ふざけるなよ!」
小林「いーえ!治療は『ちゃんとするわ』。私の沽券にかかわる事だもの」
樋口「ごちゃごちゃ言ってないで早くしなさいよ!」
小林「はーい!『ヒール』!!」
樋口「ああ!痛みが消えていく!ったく、とっとと治療しておけばよかったのよ、この芋娘。ねえ、みなさん」
男AB「「え?」」
樋口「どうしました?そんな化け物でも見るような目をして」
男A「え……いや……ははは……なあ?」
男B「あ……うん……あれマジ?樋口さん……」
樋口「……わたしに何をしたの!小林!!」
小林「ぷぷぷ。私のヒールは、本来の状態に戻す魔法なの。つーまーりー、整形前のオークみたいな顔に戻っているわよ」
樋口「なななななんですって!!」
小林「これで美貌とやらで男を従わせる魅了魔法は、効果無くなるんじゃない?」
樋口「あああああアンタ達!小林をやっておしまい!」
男A「いや……やれって言われても……」
男B「あー……小林さん綺麗系じゃないけど結構かわいいし」
男A「あ!お前ズルいぞ、俺だって学校では小林さん派だったんだから!」
男B「はあ!ズルいってなんだよ」
小林「黙れ、男子どもー」
男AB「はい!すいません、小林さん」
樋口「ななななな!」
小林「はーい、という事で形勢逆転でーす。美貌が自慢の樋口さん」
樋口「くうう!!覚えてなさいよ!!」

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これが設定から書き起こしたラストシーンです。練習で書いた対話式小説を使う場合は、既にここまではできている筈です。

練習とは別の対話式小説を使いたい方は、時間を掛けてでもいいので1つここまで用意してみてください。

対話式でラストシーンを描く

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