よく揺れるあなたと同じ舟に乗る (川柳22句)
よく揺れるあなたと同じ舟に乗る
現実はあかるい映画よりくらい
実弾はひとつ話し方いろいろ
先頭で前へならえをしてる猿
度の合わぬ眼鏡で同じ夢をみる
改憲で極彩色になる兵士
どのような春なら素手で良かったか
ぼくらしい螺子を次の人に渡す
ダイヤルをまわす省略できぬ人
アイシテナイヒトもとてもいい匂い
沙羅の木になるのは敗けた兵士から
かもめからかもめへ揺れていく夕陽
遺言の通りに開ける非常口
誰もいない海で自動ドアが開く
文語調ながらマネキンに紛れる
馬鈴薯がポテトチップをみる孤独
三日月が背筋伸ばして行くしじま
結末の知らない夢が多すぎる
好き嫌い多く未定のない予定
種明かししてる輪切りにされた人
フロイトは象と解体されたがり
島津家がヘブンといった臍の下