鯖として生きてしまって胃が痛む (川柳22句)
鯖として生きてしまって胃が痛む
むらさきになるまで蟻が死にに来る
誤射をするサジタリウスの発汗度
殺された場所へ戻っている鸚鵡
座布団は尻の正義を記憶する
アコーディオン奏者が去った木偶の店
一面に載らない鳥の近代化
踝の知らない歌で曲がるバス
約束の破れぬ人も連れて行く
ロマン派はつらい朝にも窓を開け
梔子の吐息冤罪者が落とす
紅を差しやらせ番組ばかり見る
非正規の海馬に脱臼癖の痕
死に切れぬ蝉と黒鍵取り替える
どこまでも鶏卵割れて安息日
押し花を貼り火曜日になりすます
審判がくだり脱毛するホルン
手のひらがくらげになっていく砂絵
ドリス・デイだった時代の黄が傷む
金平糖付けてヨブ記のように泣け
味噌汁の具にも連帯保証人
幸せであるがニーチェは内折りに