時実新子ですら書店に本がなかった2019年
かなり大きめの書店へ行っても川柳の本が置いてある棚は惨憺たるものだ。
サラリーマン川柳シルバー川柳はあるものの六大家の誰ひとりの句集も置いていないのはザラであって、文芸としての川柳は書店にはない。
現在の川柳人に多大なる影響与えた時実新子にしても例外ではなく、全ての著作が絶版でした。
そんな状況の中、新子生誕90年の今年「愛は愛は愛は」の刊行は素晴らしい出来事。これをきっかけにオリジナルの句集、エッセイ集も復刊してほしい。
各章のタイトルは収録された1句から採られている。面白いのでタイトルとその1句を記す。
つんつん
乳房つんつん私に背き恋をする
ぽかん
すかんぽのぽかんと今が今があるばかり
ずきん
はぐれるとズキンと乳房だけになる
ゆらり
妻をころしてゆらりゆらりと訪ね来よ
月の子がたいまつ社から刊行されたのが1978年、41年が過ぎた。
新子の川柳を2019年に生きる私たちはどう読んでいるのか、興味のあるところだ。
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