マフラーがだんだんながくなるひとり (川柳18句)

マフラーがだんだんながくなるひとり  

カタログの老人はみな目を瞑り  

しゅんかんの交尾スクランブル交差点  

コインロッカー開く   静かの海に出る  

改憲まで続くながいながい  自慰  

ハッシュタグ「#この世の果て」というところ  

しあわせのかたちとしてのオムライス  

白のない映画をみてる白い部屋  

告白をしても沈まぬ難破船  

柘榴酒が無くて裏磐梯まで歩く    

流し目と同じ記号の突起物  

セールストーク練り込む木天蓼の足袋に  

眼を描けば駱駝嫌いになる駱駝    

名画座の字幕かイソジンの匂い  

歯並びがいい啄木鳥も五親等  

実写版サルトルがいる脱衣籠  

記念日のたびにシンバル叩く猿  

残業で詐欺の手口に名をつける

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