雲として暮らす一身上の都合 (川柳20句)
雲として暮らす一身上の都合
大袈裟な手振りでマントラと浮かぶ
敵兵が五目炒飯に混じる
「主婦の友」付録に敵が付いてます
按摩屋の毛蟹も五十肩である
部屋中のファスナー開き牛を出す
近所では鯖寿司だけがリアリスト
しかししかしと螺旋階段延びる
貸借りのことしか書かぬ日記帳
青い月覗くと露出狂が減る
望まない結末に姫蜘蛛の顎
塩分を控えくだんを待っている
水っぽい酒を豆腐と折半に
ゼッケンがないと糸こんにゃくが泣く
夜鳴きそばほろほろ異母兄弟の犬
雇用延長食べ放題の肉を焼く
石鹸が無くてリンスで洗う穴
雲として暮らす一身上の都合
ピノキオは遮断機として再雇用
臨月を忘れ進駐軍が去る