ガラシャから受け取るメビウスの始点 (川柳22句)

ガラシャから受け取るメビウスの始点

ちはやふる神が始めた神経衰弱

眼を描けばノンフィクションになる駱駝 

結末のない夢ばかり見せにくる

剣山の上で赤旗が売れる

五カ国話せて友達がいない

関ヶ原以後を百年ほど捨てる

捨てられたキン消しのある小料理屋

三男もかもめも利息だった頃

土蜘蛛の術を教える寿大学 

痛くない方の土曜を持ち帰る 

干瓢のまま聴いている今日の音

狂言の韻など複写する迷路

あと五分あれば握手ができたのに

賛美歌を拾った順に鳥の列

匿名で生きる下巻のないドラマ

散歩しようか約束をまもろうか

濃厚なチーズを牛が食べたがる

鳥葬のさなか検温するナース

覆面を利息分だけ派手にする

海月みな干され人体模型の胃

荒縄で縛ればスーザフォンの息

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